違法伐採とその対策
違法伐採とその対策 全世界の森林伐採の15~30%が違法伐採で行われているとされており (※1) 、違法行為が広範囲に蔓延していることが推測されます。さらに、国や地域を個別に見てみると、中国、ロシア、熱帯諸国では木材生産の20~90%が違法伐採によるものと推定されています (※2) 。特に、日本と木材貿易の関係が深いインドネシアでは、森林伐採の73%が違法であると推定されています
全世界の森林伐採の15~30%が違法伐採で行われているとされており (※1) 、違法行為が広範囲に蔓延していることが推測されます。さらに、国や地域を個別に見てみると、中国、ロシア、熱帯諸国では木材生産の20~90%が違法伐採によるものと推定されています (※2) 。特に、日本と木材貿易の関係が深いインドネシアでは、森林伐採の73%が違法であると推定されています (※3) 。ロシア政府も問題の認識を示しており、国内で生産される木材の約10%が違法伐採であると推計しています(2006年時点)。具体的な問題として、許可証なしの伐採や許可証の偽造などの不正行為が横行していることが指摘されています。
※3 財団法人国際緑化推進センター「緑の地球 85号」平成19年3月
違法伐採が多いとみられている地域- 東南アジア (インドネシア、マレーシア等)
- ロシア (ロシア極東地域等)
- アフリカ (カメルーン、ガボン、コンゴ等コンゴ川流域)
- ブラジル (アマゾン川流域)
違法伐採による影響
森林の破壊と生物多様性の喪失 森林の減少と劣化- 開発が進むことで森林へのアクセスが増え、それに伴って違法伐採の発生も増えます。違法伐採が増えると、森林の劣化が進み、森林の経済的な価値が低下します。この結果、森林は他の用途へ転換されたり、森林自体が減少してしまいます。
- 商業伐採やインフラ開発などが行われると、地域経済が変化します。外部資本が流入することで経済が発展する一方、伝統的な森林利用方法や非木材生産物の利用が減少することもあります。これにより、地域コミュニティの監視能力が低下し、違法伐採が行われやすくなります。違法伐採の結果、森林は劣化し、経済的な価値も低下します。その結果、森林は農地など別の用途に転換され、森林自体が減少します。
G8各国が合意した森林行動プログラムでは、違法伐採は、「国および地方政府、森林所有者および地域社会から重要な収入と便益を奪い、森林生態系に被害を与え、木材市場と森林資源の評価を歪め、持続可能な森林経営を阻害する要因として機能する」と論じられています。
違法伐採は木材生産国の経済面にも大きなマイナス影響を及ぼすのです。具体的には、違法伐採された木材が流通することで、木材市場価格が引き下げられ (※3) 、その国の木材収入や税収の損失という形で現れます。 また、不当に安い木材が国際的に流通すると、持続可能な森林経営 (※4) のもとで生産された木材の流通が阻害され、悪影響は、その国だけでなく全世界に及びます。さらには、ゲリラ・テロ組織への資金供給などの可能性も指摘されています。
地域文化・住民生活の破壊森林は、地域の住民に、薪などの燃料や木の実や動物などの食料を提供し、さらには水源や土壌を保全するという大きな役割を果たしています。世界の人々、とりわけ先住民族にとっては、森林は食料の貯蔵庫であり、生活の糧を森林資源に大きく依存しており、生活の場として欠かせないものです。今でも狩猟採集で生計を立てている人々もいます。また、森林は地域文化や宗教を育んできました。違法伐採では、このような森林の伝統的な利用の慣習的な権利が無視されるため、罪のない地域住民の生活を破壊したり、生活の変貌を迫ることにもなります。
違法伐採に対する取組み
国際社会の取組み 日本政府の取り組み日本政府は、1998年に英国で開催された「バーミンガム・サミット」では、世界の森林に関する行動計画である違法伐採対策を含む「G8森林行動プログラム」に対して合意しました。その2年後の2000年には「G8九州・沖縄サミット」が開催され「違法伐採された木材は使用しない」という基本方針のもと、その後、一貫して違法伐採問題を重要視してきました。さらに、2005年7月の英国で開催された「グレンイーグルズ・サミット」では、グリーン購入法 (※5) を用いた政府調達により、違法伐採対策に取り組むことを表明しました。
2006年2月、地球規模の違法伐採問題に対処するため、林野庁は「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成し、国内外に公表しており、これにもとづく供給体制の整備を進め、同年4月からはその一環として、政府調達においては、木材・木材製品は「合法性」「持続可能性」が証明されたものを優先的に購入しなければならない (※6) 、という措置を新たに導入しました。
(※6)合法性、持続可能性の確認方法として、次の3つが提示されています。 (1)森林認証(FSC、PEFC、SGEC等)を活用する方法 (2)業界団体の認定を受けた事業者が証明する方法 (3)事業者独自の取組みにより証明する方法
2016(平成28)年の伊勢志摩サミットに向けて、政府はさらなる対応策を発信するために、合法的に確認された木材の利用を促進するための議論が盛んに行われました。その結果、「クリーンウッド法 (※7) 」として知られる法律が、翌年の2017(平成29)5月に施行されました。この法律は、合法的に伐採された木材などの流通と利用を促進する(原産国の法令に適合して伐採された木材と木材製品の流通と利用の促進を図る)ことを目的としています。この法律の施行により、 政府調達だけでなく、全ての事業者(企業・団体等)に、合法的に伐採された木材を利用する ことが求められるようになりました。
民間企業の取組み- 住友林業グループ「木材調達理念・方針」
- 積水ハウス株式会社「木材調達ガイドライン」
違法伐採 ( いほうばっさい ) とは、それぞれの 国 ( くに ) の 法律 ( ほうりつ ) に 違反 ( いはん ) して、 伐 ( き ) ってはいけない 木 ( き ) を 伐 ( き ) ることなんだ。それは、 環境 ( かんきょう ) にとっても、 社会 ( しゃかい ) にとっても 良 ( よ ) くないことなんだ。 違法伐採 ( いほうばっさい ) された 木 ( き ) で 建 ( た ) てられた 家 ( いえ ) には 住 ( す ) みたくないし、 違法伐採 ( いほうばっさい ) された 木 ( き ) でつくられた 木製品 ( もくせいひん ) は 使 ( つか ) いたくないよね。だから 木 ( き ) を 使 ( つか ) うときには 合法性 ( ごうほうせい ) が 証明 ( しょうめい ) されていることを 確認 ( かくにん ) することが 大切 ( たいせつ ) なんだよ。 例 ( たと ) えば、FSCやPEFC、SGECなどのマークが 付 ( つ ) いた 木 ( き ) は 合法性 ( ごうほうせい ) が 証明 ( しょうめい ) されていているので、 安心 ( あんしん ) して 使 ( つか ) えるね。
whois森林・林業学習館 for きっず〔参考文献・出典〕日経ビジネス「消えゆく世界最大の森林」/財団法人国際緑化推進センター「緑の地球 85号」平成19年3月/WWFジャパン/JITAN 熱帯林行動ネットワーク/環境省自然環境局自然環境計画課「世界の森林は刻々と減少しています」「世界の森林を守るために」/環境省地球環境局・社団法人全国木材組合連合会「違法伐採から森林を守るために」 / 一般社団法人全日本木材市場連盟HP / グリーンピースジャパン・国際環境NGO FoE Japan・・財団法人地球・人間環境フォーラム・熱帯林行動ネットワーク「森林生態系に配慮した木材調達に関するNGO共同宣言」 / フェアウッドキャンペーンパンフレット「森林を破壊しない、選択 フェアウッド・キャンペーン」「森林の見える木材ガイド」 / 合法木材ナビ