立原道造 「のちのおもひに」(詩集『萱草に寄す』より)
立原道造 「のちのおもひに」(詩集『萱草に寄す』より)

立原道造 「のちのおもひに」(詩集『萱草に寄す』より)

のちのおもひに夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に水引草に風が立ち草ひばりのうたひやまないしづまりかへつた午さがりの林道をうららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた――そして私は見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光をだ

この詩を冬のカテゴリーに入れるのは、若干の躊躇いがありますが、4連目の”真冬”という言葉が、あまりにも印象的なので、そうさせてください。 このフレーズに、はっとさせられるんですよね。 ”夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう” どのようにも解釈できるかもしれませんが、どこか生の果て、つまり死を連想させます。 今まで見て来たもの、語りつづけたものが、4連目のこのフレーズでがらりと転調し、死後の世界から生をふり返っているような感じになります。

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山村暮鳥 「ランプ」「夜の詩」(詩集『風は草木にささやいた』より)

ランプ 野中にさみしい一けん家 あたりはもう薄暗く つめたく はるかに遠く ぽつちりとランプをつけた ぽつちりと點じたランプ ああ 何といふ眞實なことだ これだ これだ これは人間をまじめにする わたしは一本の枯木の.

萩原朔太郎 「竹」(詩集『月に吠える』より)

竹 ますぐなるもの地面に生え、 するどき青きもの地面に生え、 凍れる冬をつらぬきて、 そのみどり葉光る朝の空路に、 なみだたれ、 なみだをたれ、 いまはや懺悔をはれる肩の上より、 けぶれる竹の根はひろごり、 するどき青.

三好達治 「雪」(詩集『測量船』より)

雪 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 作者と作品について 作者三好 達治(みよし たつじ) 1900年(明治33年)~1964年(昭和39年) 大阪府大阪市生まれ 作品.

室生犀星 「切なき思いぞ知る」(詩集『鶴』より)

切なき思ひぞ知る 我は張り詰めたる氷を愛す。 斯かかる切なき思ひを愛す。 我はその虹にじのごとく輝けるを見たり。 斯る花にあらざる花を愛す。 我は氷の奥にあるものに同感す、 その剣のごときものの中にある熱情を感ず、 我はつねに.

山村暮鳥 「雪ふり蟲」「初冬の詩」「路上所見」「大風の詩」「風の方向がかはつた」(詩集『風は草木にささやいた』より)

雪ふり蟲 いちはやく こどもはみつけた とんでゐる雪ふり蟲を 而も私はまだ 一つのことを考へてゐる 初冬の詩 そろそろ都會がうつくしくなる そして人間の目が險しくなる 初冬 いまにお前の手は熱く まるで火のやうにな.