【冬菊のまとふはおのがひかりのみ】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!
【冬菊のまとふはおのがひかりのみ】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

【冬菊のまとふはおのがひかりのみ】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

五・七・五の十七音で四季の美しさに感動する心、日々の暮らしの中で心動かされたことを詠みこむ「俳句」。 特に名句と呼ばれるものは高い芸術性を持つ文学作品として評価されています。 今回はそんな数

五・七・五の十七音の中に、美しい自然の光景や四季の移ろいを描いた「俳句」。 今回は、医師という本業を持ちつつ、日本の俳壇の中心でも活躍したを36句ご紹介します。 俳人、水原秋桜子(1892年生)の生まれた日。 医学博士でもある。 高浜虚子に師事し、客観写生。 「馬酔木」主宰。 「来しかたや馬酔.

季語

こちらの句の季語は 「冬菊」、冬の季語 になります。

「菊」は秋に咲く花で秋の季語ですが、「冬菊」というのは 遅咲きの冬になっても咲いている菊 のことを言います。

意味

こちらの句を 現代語訳 すると・・・

「冬菊がその身にまとうのは、冬の日を浴びて自らがはなつ光でできた衣だけなのだろうか。」

また、 「おのがひかり」は自分自身の光、自分自身が放つ光ということ。

この句が生まれた背景

この句は、 水原秋桜子が昭和23年(1948年)に詠んだ句 です。

水原秋桜子は、昭和 20 年春、戦禍を避けて八王子に移住。八王子で数年を過ごすこととなりましたが、その時の作品になります。

当時、秋桜子は八王子の住まいの近隣の人から分けてもらった菊を庭に植えて楽しんでいました。

この句は、句集「霜林」に収録されていますが、この句と一緒に 「冬菊は暮光に金の華をのべ」(冬菊は暮かかる夕日のなかで金色の花を咲かせていることよ。) という句が収録されています。

「冬菊のまとふはおのがひかりのみ」の表現技法

句切れなし

もちろん、句の中には句切れがないものもあり、 この句も句切れはありません。

このような場合を 「句切れなし」 と呼びます。

「おのがひかり」の暗喩

「~のような」「~のごとし」などのような、比喩であることがはっきりわかるような書き方ではなく、 たとえるものを直接結びつけ、言い切るように表現した比喩 です。

本当に菊の花が発光するのではなく、 まるで光っているかのように見える 、ということなのですが、「~のようだ」にあたる比喩とわかる言葉を用いずに暗喩で表現しています。

擬人法

この句では、 「冬菊」を人にたとえています。

「冬菊」が「ひかり」を「まとふ」、つまり、「冬菊が光を身に着けている」という表現になっています。

擬人法を使うことで、 冬菊の凛とした強さを印象的に表現しています。

ひらがなの多用

「冬菊やまとふはおのがひかりのみ」、 「冬菊」以外はすべてひらがな で表記されています。

ほんのりとやさしい光を帯びた花、かぼそくもしなやかな草姿・花の温もり を、ひらがなを多用した表記で表現しているのです。

「冬菊のまとふはおのがひかりのみ」の鑑賞文

【冬菊のまとふはおのがひかりのみ】は、 冬菊が自ら光を放つようにして凛として咲いている様子を詠みこんだ句 です。

花の命は儚いともいいますが、ほかの花が絶えても冬の寒さに負けることなく咲き続ける冬菊は、 しなやかでしたたかな生命力を感じさせます。

この時、秋桜子は昭和 20 年の東京大空襲によって、神田にあった病院(秋桜子は病院を経営する医師でもありました)を焼かれ、疎開する形で八王子に仮寓する身でした。

「冬菊のまとふはおのがひかりのみ」の補足情報

冬菊の特徴

特に秋に盛りを迎える菊の中でも、冬になっても咲き残るものや、 12月から1月にかけて開花する品種 を指すことが多いです。

品種は多様で、一輪咲きで見ごたえのある「大菊」から、飾りやすい「小菊」、花弁が重なる「八重菊」、毬のような形が愛らしい「ポンポン菊」など、 様々な咲き方や色のもの があります。

冬菊 / 寒菊に関するほかの有名俳句

冬菊は、 秋の菊と比べてめずらしい季題 です。ほかの俳人はどのように詠んでいるのでしょうか。

ここでは、 「冬菊/寒菊」に関する有名俳句 を4句紹介していきます。

【No.1】星野立子

「寒菊に ふれし箒(ほうき)を かるく引き」

庭の掃除をしていた時に、ひっそりと咲いていた寒菊の花にうっかり箒を引っかけてしまった様子を詠んだ句です。咲いている寒菊を散らさないように、軽く引いてそっと箒を離している様子が目に浮かびます。

【No.2】柴田白葉女

「冬菊の 目立たず咲きて 咲き保つ」

「咲く」を 2 回繰り返すことによって、目立たないように咲いていても誇り高く花を咲かせている様子を詠んでいます。どのような小さい花でも、冬を彩る花として凛と咲いていたのでしょう。

【No.3】高澤良一

「冬菊を いとほしむ眼を 誰もせり」

冬菊を見る人々の目が、愛おしいものを見ている様子を詠んだ句です。多くの花が枯れて葉も落ちていく冬の風景の中で、ひっそりと咲きながら色彩を与えてくれるひたむきな冬菊を誰もが好んでいるようだと感じる表現になっています。

【No.4】高浜虚子

「寒菊や 年々同じ 庭の隈」

寒菊が咲いている様子を見て、毎年のように庭の隅に咲いていたことを思い出している一句です。変わらず毎年咲き続ける寒菊の健気さに心を打たれている様子が「寒菊や」の切れ字から伝わってきます。

作者「水原秋桜子」の生涯を簡単に紹介!

本名は水原豊、明治 25 年( 1892 年)に生まれ、 大正期から昭和にかけて活躍した俳人・歌人 です。

その一方で医師として家業である病院を継ぎ、医科大学で教鞭をとるなど、 医学博士 としても業績を残しました。

ホトトギス派とは違う俳句を模索する俳人たちと 新興俳句運動を展開し、新たな潮流を生むこととなりました。

昭和 56 年( 1981 年)東京都杉並区で 88 歳の生涯を閉じました。

水原秋桜子のそのほかの俳句

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  • 1 「冬菊のまとふはおのがひかりのみ」の作者や季語・意味・詠まれた背景
    • 1.1 季語
    • 1.2 意味
    • 1.3 この句が生まれた背景
    • 2.1 句切れなし
    • 2.2 「おのがひかり」の暗喩
    • 2.3 擬人法
    • 2.4 ひらがなの多用
    • 4.1 冬菊の特徴
    • 4.2 冬菊/寒菊に関するほかの有名俳句

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