川崎病の基礎知識
川崎病の基礎知識

川崎病の基礎知識

【医師監修・作成】「川崎病」小児に起こる全身の血管炎により、発熱・発疹・冠動脈病変など様々な症状を引き起こす|川崎病の症状・原因・治療などについての基礎情報を掲載しています。

川崎病は、5歳までの乳幼児に多い全身の血管に炎症が起こる疾患です。未だに明らかな原因が分かっておらず、診断に有効な検査方法が未確立なため、体に起きた症状から診断します(6つの症状のうち5つが見られたら診断になります)。 この病気で一番気をつけなければならないのは、心臓に合併症を起こすことがある点です。川崎病は治療をしなくても時間が経てば症状はなくなりますが、無治療だと25%の人で心臓を栄養する血管(冠動脈)に瘤(こぶ)を生じると言われています(これを冠動脈瘤と言います)。こぶが大きいと、後々に心筋梗塞を起こしやすくなってしまいます。 ただし、こぶが出来た後の対処法もありますし、一旦できた冠動脈瘤が時間と共に小さくなり無くなる場合もあります。この冠動脈瘤をいかに予防するかが、川崎病治療の大きな目的です。確実な治療方針が定まっておらず、多くの施設で行われているIVIG(大量免疫グロブリン療法)による初期治療を含めて、さまざまな治療法が存在します。川崎病が疑われる人は必ず小児科を受診してください。

川崎病について

  • 全身の血管に 炎症 が起こり、発熱・ 発疹 ・目の充血などの症状を起こす
    • 免疫 が異常に働き、炎症を起こすと考えられている
    • 感染症 が関与している可能性は指摘されているが、明らかな原因は不明
    • 他人にうつることはないと言われている
    • 溶連菌感染症(猩紅熱)
    • アデノウイルス 感染症
    • エルシニア感染症
    • ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
    • 麻疹
    • 薬物反応
    • 全身型若年性特発性関節炎
    • EB ウイルス 感染症
    • ヘルパンギーナ
    • 手足口病

    川崎病の症状

    • 主な症状 下記の6つの症状のうち5つ以上があてはまるか、4つがあてはまり 冠動脈 瘤がある場合に川崎病と診断される
      • 発熱
      • 発疹
        • 形は様々
        • 全身に広がるが、下着やズボンのゴムで圧迫されている部分に多い
        • BCG接種部位が赤くなったりかさぶたができたりする(1歳未満の児で多い)
        • 白眼が真っ赤になる
        • 舌の表面にぶつぶつがみられ「いちご舌」と表現される
        • 唇は乾燥して亀裂・出血・かさぶたを伴うこともある
        • 痛みを伴うこともある
        • 左右両方のことも片方だけのこともある
        • 手足がテカテカ・パンパンに腫れる手のひら・足の裏が赤くなる
        • 回復期に手足の指先の皮がむける(膜様落屑)
        • その際には他の疾患が否定できている必要がある

        川崎病の検査・診断

        • 診断は上記の基準に従う: 心臓超音波検査 ・ 心電図検査 は必須
          • 心臓超音波検査
            • 冠動脈 の状態、心臓の動きや弁の様子を適宜評価する
            • 血液検査
              • 炎症 反応の程度や肝機能・ 電解質 などを調べる
              • 川崎病では尿中に 白血球 がみられることがある
              • 感染症 があるかどうかを確認する目的で、血液や尿、便中の 細菌 の有無を確認する
              • 溶連菌・ アデノウイルス の迅速検査(のどを綿棒でぬぐう検査)

              川崎病の治療法

              • 治療の考え方
                • 最大の目的は 炎症 を抑えて、「 冠動脈 病変 を起こさないようにする」こと
                • 症状出現から7日目以内に治療を開始することが望ましい
                • 診断がついた時点で原則的に入院が必要となる
                • 免疫グロブリン :IVIG(点滴)
                  • 異常に働いた 免疫 を調整し、炎症を抑えると言われている
                  • 献血で提供された血液の一部を使用する(血漿分画製剤)
                  • 通常12時間から24時間かけて投与する
                  • 点滴の量が多くなるため、特に心臓の機能が落ちている子どもには注意が必要である
                  • 多めの量を飲むことで炎症を抑える
                  • 肝機能障害 がある場合にはフロベンという薬で代用する
                  • 治療効果を約24時間から36時間ほど観察する
                    • IVIGの治療効果の判定にはKobayashiスコア、Egamiスコア、Sanoスコアなどが用いられる
                    • 15-20%ほどは治療効果が見られないと考えられている
                    • 免疫グロブリンの再投与
                    • ステロイド薬 :初期治療時に投与することもある
                      • メチルプレドニゾロン点滴( ステロイドパルス 療法)
                      • プレドニゾロンの内服
                      • 冠動脈病変がない場合
                        • 熱が下がったあとはアスピリンの量を減らして2-3ヶ月継続する
                        • 少量を継続することで 血小板 の働きを抑えて血を固まりにくくする
                        • 冠動脈病変がないか定期的に 心臓超音波検査 で確認する(数年間)
                        • 冠動脈病変がなくなるまでアスピリンを継続することが多い
                        • アスピリンを飲んでいる間は血が止まりにくいため、大きな怪我に注意する
                        • 水痘(みずぼうそう)やインフルエンザにかかるとReye(ライ)症候群を 発症 する危険性がある
                          • Reye症候群とは突然の 意識障害 や嘔吐がみられる非常にまれな病気
                          • 熱が出た場合、アスピリンをいったん中止して医療機関を受診する
                          • 生ワクチン(麻疹・風疹・流行性耳下腺炎:おたふくかぜ・水痘:みずぼうそう・ロタ ウイルス )は6ヶ月以上あける(例外としてBCGは生ワクチンだが制限なし)
                          • ワクチンの接種時期に関しては主治医と相談して再設定する
                          • 不活化ワクチン(5種混合・ 肺炎球菌 ・B型肝炎など)については制限なし

                          川崎病に関連する治療薬

                          COX阻害薬(抗血小板薬)
                          • COXという体内の酵素の働きを阻害し血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑えて血管をつまらせないようにする薬
                            • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
                            • 体内で血小板凝集を促進させるTXA2という物質はCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素によって生成される
                            • 本剤はCOXを阻害することでTXA2の生成を抑える作用をあらわす
                            • 薬剤の中には川崎病の治療などに使用される薬もある
                            川崎病のタグ 本記事は複数の医師・薬剤師で執筆・監修をしています

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