オノレ・ド・バルザック『ゴリオ爺さん』ってどんな話?作品の内容を詳しく解説
オノレ・ド・バルザック『ゴリオ爺さん』ってどんな話?作品の内容を詳しく解説
出世の糸口をつかんだように見えたウージェーヌでしたが、ヴォケー館の三階の住人ヴォートランは、出世するためには百万フランという膨大な金が必要で、それを工面するためには多額の持参金を持つ娘との結婚を狙うべきだと言いました。そんな娘がどこにいるのかという質問に、ヴォートランは同じ下宿に住むヴィクトリーヌ・タイユフェールが最適であると答えます。彼女の父親は、銀行の代表社員で、息子(ヴィクトリーヌの兄)のほうに全財産を残すつもりでいました。しかし、もしその息子がいなくなれば、父親はヴィクトリーヌの方に財産を渡さざるを得なくなります。ヴィクトリーヌはウージェーヌに好意を持っているようなので、もしウージェーヌが首を縦に振れば、タイユフェーユ家の息子を仲間に殺させるので、手に入れた持参金の一部を自分に横流ししてほしいとヴォートランは言いました。ウージェーヌは、この恐ろしい計画に震え上がりながら、ヴォートランに協力するかを考えて逡巡し、混乱しました。 やがてウージェーヌはデルフィーヌと近づくために、賭博にはまりこみ、両親から工面してもらった金を使い果たすようになりました。デルフィーヌが見せる愛情は偽りであったため、彼は自尊心を傷つけられ、ますますその恋に縛り付けられました。やがて金に困ったウージェーヌは、ヴォートランが保証したヴィクトリーヌとの結婚をも考えるようになり、彼女を誘惑し始めました。ヴォートランはこれに喜び、ヴィクトリーヌの兄は決闘で正式に殺させると請け合いました。 ゴリオは、ウージェーヌを友人と見なすようになり、彼と娘がより近しい関係になることを望みました。ウージェーヌは、ヴォートランとゴリオとの間で、板挟みの状態に陥りました。
そのような時に、ヴォケー館の貧しき住人、ポワレとミショノーは、警視庁保安課長ゴンデュローから、ある依頼を受けていました。ゴンデュローによると、ヴォートランは大胆きわまりないことをやってのけながら、いつも運よく命を落とさないため、<不死身(トランプ・ラ・モール、死のいかさま師)>という異名を持つ脱獄囚ジャック・コランだという疑いがあるようでした。警察は、ヴォートランがなかなか尻尾をださないので逮捕できませんでした。そこでゴンデュローはヴォートランに卒中を起こさせる薬を飲ませ、彼が眠った後で、肩にある懲役の烙印を確かめようとしており、同じ下宿に住むポワレとミショノーを雇おうとしたのでした。 一方ゴリオは、ウージェーヌのために独身者用のアパルトマンを買い、自分はその隣室に住み、ウージェーヌがデルフィーヌに会いに出かける音を聞いて、デルフィーヌとのつながりを感じようとしていました。ゴリオから部屋をあてがわれたウージェーヌは、ヴィクトリーヌとの結婚を思いとどまり、ヴィクトリーヌの兄に危険が迫っていることを知らせに行こうとしました。しかし、全てを見破ったヴォートランが眠り薬の入ったボルドー酒を飲ませ、ウージェーヌが眠っている間にヴィクトリーヌの兄は殺されてしまいました。 ミショノーは、ヴォートランの気前のよさを当てにして、彼に危険を知らせてやろうとしましたが、「ペール=ラシェーズ(パリの有名な墓地)のヴィーナス」というあだ名をつけられたために、ヴォートランを警察に引き渡す決心をしました。ゴンデュロー氏にもらった薬を朝のコーヒーに混ぜ、ヴォートランに飲ませて気絶させ、肩を叩くと、懲役を意味するT.Fという文字が浮かび上がりました。証拠を掴んだ警察はヴォートランを逮捕しました。密告という裏切りを働いたミショノーとポワレは、下宿人たちの軽蔑と反感を買い、追い出されました。 ヴォートランの逮捕劇を目の当たりにして良心を刺激されていたウージェーヌは、引っ越すことを躊躇しましたが、結局ゴリオの言う通り、その部屋に住み始めることを決意しました。
ウージェーヌは、ボーセアン子爵夫人から舞踏会の招待を受けました。その手紙にはデルフィーヌも来るようにと書かれていました。貴族階級との付き合いを喉から手が出るほどに欲しがっていたデルフィーヌは、この知らせを聞いて喜びました。 下宿を引き払う準備を終えたゴリオのところに、デルフィーヌとアナスタジーが現れました。舞踏会で着飾る資金が必要になった二人の娘は、ゴリオの財産を当てにしてお互いを非難して言い争いました。ウージェーヌに家を買ったために財産がなくなったゴリオは、それを見て苦しみもがきました。この騒ぎを聞いていたウージェーヌがその場を収めましたが、ゴリオはこのショックがもとで寝入ってしまいました。ヴォケー館の住人の医学生ビアンションは、ゴリオが卒中に脅かされていることを見抜き、このことをウージェーヌに伝えました。ウージェーヌはビアンションと共に夜通しでゴリオを看病しました。朝になり、ウージェーヌは、ボーセアン子爵夫人の舞踏会に来てほしいというデルフィーユからの手紙を受け取りました。ウージェーヌはゴリオの容態の話を持ち出しますが、彼女は取り合わず、舞踏会が終わるまでは父親のところに行こうとさえしませんでした。 ウージェーヌがヴォケー館に帰ると、ゴリオ爺さんはいよいよ最期の時を迎えていました。彼は娘たちをゴリオの元へ連れてこようと奔走しましたが、二人とも父親のもとに現れることはありませんでした。娘が自分の死を看取らないことを悟ったゴリオは、絶望しながら息を引き取りました。 ウージェーヌは、なけなしの金をはたいて葬儀を行いましたが、二人の娘は葬儀にすら現れませんでした。葬儀が終わると、ウージェーヌは墓地の高みからパリの街を見下ろし、「さあ今度は、おれとお前の勝負だ!」と叫び、社会を挑発するためにニュシンゲン夫人の屋敷へ晩餐をとりにでかけました。
作品の概要と管理人の感想
『ゴリオ爺さん』(Le Père Goriot)は、1835年に発表されたオノレ・ド・バルザックの代表作です。バルザックは、作家としてのキャリアの後半を、『人間喜劇』という作品群を書くことに費やしました。『人間喜劇』は、独立した作品の登場人物を、複数の作品に登場させることにより、当時のパリの社会の全てを浮き彫りにしようという壮大な構想でした。『ゴリオ爺さん』は、この『人間喜劇』の作品群の中の一つであり、ラスティニャックやヴォートランらの登場人物は、その他の作品でも活躍しています。
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