小脳性運動失調の評価とリハビリテーション
小脳性運動失調の評価とリハビリテーション

小脳性運動失調の評価とリハビリテーション

小脳性運動失調のなぜ?症状が起こる原因とメカニズムは?視床出血でなぜ運動失調が起きるのか?小脳の損傷と筋緊張低下のメカニズム、前庭脊髄路との関係は?SARA日本語版の概要と実施方法、結果の解釈は?上肢運動失調症の臨床症状と評価の視点・方法は?重錘や弾性緊縛帯の効果は?コアトレがなぜ有効か?

阪本 誠ら「Core stability training により運動失調および バランス障害が改善した重度小脳性および 感覚性運動失調の1症例」理学療法科学 32(3): 459–464,2017 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptkanbloc/30/0/30_0_10/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/4/0/4_0_15/_pdfhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A9%A6%E9%A8%93

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小脳性運動失調のなぜ?症状が起こる原因とメカニズム

小脳の機能と役割

出典:中上 博之先生 脳画像資料

小脳半球 運動計画や運動のスムーズさに働き、手足の運動調節(協調性)に関わる。

小脳虫部 意識できない深部感覚に関与し、姿勢や歩行などの主に体幹の動きに関わる。 上部では歩行の協調性に関与し、下部では体幹運動の協調や平衡機能に関与する。

意識できない深部感覚では、筋紡錘(筋肉の長さの情報)、腱紡錘(筋肉にかかる張力)の情報があります。 脊髄から直接小脳へ情報が伝えられることが特徴です。 腱反射にも関与しています。

前庭小脳 平衡機能や眼球運動の調節に関わる。

運動失調や協調性障害の定義から運動失調を考える 小脳性運動失調の症状

測定障害 ( dysmetria) 距離の測定が過不足に生じる事で、目的動作が正しく行えない。 (例) コップを持とうとしても距離が合わずに正しく持てない。また、持ったとしても正しく口に近づけられない。

共同運動不能・変換運動障害 ( adiadochokinesia) 筋の相互の動きが時間的に協調することが困難になる。 (例) 手の回内・外を速くさせると、スピードや手の回し方がバラバラになる。

円滑性の障害・協働収縮不能 ( asynergia) 複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることが出来ない。 (例) 後ろへ反り返るように指示した時、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそ うになる。

企図振戦 ( intention tremor) 安静時に出現せず、運動時に目標に近づくにつれ出現する。 (例) 何かを指で触れる時、物に近づくにつれて大きく揺れ、的確にそのものに触れることが出来ない、または上手 く触れられない。

時間測定異常 ( dyschronometria) 筋収縮が正常よりも遅延し、最大収縮までに時間を要する現象。 (例) 両手を挙上する時、一側性の小脳障害時において、障害側の上肢が挙上するのに時間を要す。

運動分解 ( decomposition of movement) 運動の分解が起こる。 (例) 示指で耳朶を真っ直ぐさすように命令すると、指先は三角形の2辺を通るようになる。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/4/0/4_0_15/_pdf

小脳半球 小脳半球は手足の協調運動に関わる部位です。

小脳半球の損傷では、 測定障害、運動分解、共同運動不能・変換運動障害、筋緊張低下、リバウンド現象、 眼振、時間測定異常 ( dyschronometria ) などが出現します。

小脳虫部 小脳中部は歩行における協調性や体幹運動の協調、平衡機能に関与しています。

前庭小脳 前庭小脳では眼球運動の調整に関与しています。

眼振:自分の意思と関係なく目が規則的に動く。 滑動性眼球運動障害:動く目標物を目で追う 衝動性眼球運動障害:目標物をすばやく目で捉える。 眼球測定異常:目標物を見る時に通り過ぎる、あるいは手前で止まる。

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運動失調症状が起こるメカニズム

視床出血でなぜ運動失調が起きるのか!メカニズムと小脳との関係!

視床亜核と脳の連絡

視床亜核の中でも、運動失調に関連する部位は、 ・後外側腹側核(VPL) ・外側腹側核(VL) があります。 それぞれの機能を見ていきます。

後外側腹側核(VPL)、後内側腹側核(VPM) 入力:内側毛帯、脊髄視床路 出力:体性感覚野 四肢体感の体性感覚、後内側腹側核は顔面感覚に関連

外側腹側核(VL) 入力:基底核、小脳 出力:運動野 精緻運動に関連

視床損傷と運動失調の種類

被験者に足をそろえ、目を閉じて直立するように言う。実施者は被験者の近くに立ち、被験者が倒れて怪我をしないように注意する。

被験者の動きを周囲の垂直な物(部屋の柱やドア、窓など)と比較して観察する。

体の揺れがあれば、陽性と記載する(時として不規則に揺れたり、転倒したりすることもあるので注意する)。

基本的な特徴は、被験者が開眼しているときよりも不安定になるということである。

試験の基本的要領は次の通り。 1.被験者は手を体の側面に添え、開眼して足をそろえて立つ。 2.被験者が目を閉じ、そのまま実施者は一分間観察する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A9%A6%E9%A8%93

小脳失調の症状としては、 ・測定障害 ・共同運動不能・変換運動障害 ・円滑性の障害・協働収縮不能 ・企図振戦 ・時間測定異常 ・運動分解 などが生じます。

小脳の損傷と筋緊張低下のメカニズム-前庭脊髄路との関係-

筋緊張の制御に関与する抑制系と促通系 抑制系と促通系 小脳に関係のある制御系は? 内側運動制御と外側運動制御 内側系(腹内側系) 外側系(背外側系) 前庭脊髄路の概要と機能

前庭小脳には,頭の動きや重力に対する頭の相対的な位置の情報が前庭三半規管や耳石器から苔状線維を介して入る.

この部位のPurkinje細胞は前庭神経核に直接投射してニューロンを抑制する.

外側前庭神経核(lateral vestibular nucleus)からは内側および外側前庭脊髄路(medial and lateral vestibulospinal tract)が発して,体幹の筋 や四肢の伸筋(抗重力筋)の働きを調節する.

虫部のPurkinje細胞は室頂核のニューロンを抑制する.

室頂核ニューロンは左右の脳幹網様体と前庭神経核に投射しており, 前者からは網様体脊髄路(reticulospinal tract)が発し,後者からは外側前庭脊髄路(lateral vestibu­ lospinal tract)が発して,抗重力筋の活動を調節する.

標準神経病学 第2版

水野 美邦 医学書院 2012-03-28 売り上げランキング : 721598 内側前庭脊髄路と外側前庭脊髄路 小脳損傷により筋緊張が低下するメカニズム

ここまでの話で、重要なポイントは以下の点になります。 ・筋緊張の制御には、抑制系と促通系の相互作用が関与している ・筋緊張の促通系には前庭脊髄路が含まれる ・前庭脊髄路は小脳に関連がある ・前庭脊髄路には内側と外側に分けられ、体幹筋や四肢の伸筋(抗重力筋)の働きを調節し、平行保持に関与する

小脳性運動失調評価:SARA日本語版の概要と実施方法、結果の解釈

SARA日本語版の概要

SARAは8つの評価項目( 歩行,立位,坐位,言語障害,指追い試験,鼻指試験,手の回内回外運動,踵すね試験 )から構成され、施行時間は4分と短く、簡便に評価が可能で、日常的に使用できる半定量的なものです。

SARA日本語版の実施方法 結果の解釈

上肢運動失調症の臨床症状と評価の視点・方法

測定異常 反復変換運動障害 共同運動障害 運動の開始や停止の遅延 振戦

鼻指試験: ①座位、対象者の正面に検者の指を立てます。 ②「私の指先をあなたの指先で触ってください。次に自分の鼻の先を触ってください。」と説明し、検査を行います。

打点検査: 用紙にダーツの的のような同心円を書き、中心に鉛筆で点を打たせます。 1秒間に1回のペースで、手拍子をとりながらそれに合わせるように打たせます。

書字: 書字動作により、失調症状の評価や、変化を捉えることに役立ちます。 運動失調の場合、徐々に文字が大きくなっていく大字症がよく観察され、測定障害や協働収縮不能などにより書字動作が困難になることが多くあります。

動画でさらに詳しい説明を確認

小脳性運動失調に対する重錘や弾性緊縛帯を用いたリハビリテーション

小脳性運動失調では時間的・空間的な要素をコントロールできない 小脳性運動失調に対するリハビリテーションの考え方(脳科学的視点を元に) 小脳の運動制御回路

左DLPFCは小脳に対して、取り扱う変数が何であるかを指示し、注意を集中させて、課題に必要なワーキングメモリーを駆動させ、課題制度を高めるための指令的役割を担うものと考えられる。

酒井浩「小脳研究の進歩と作業療法」OTジャーナル vol.45 no.7

重錘や弾性緊縛帯を用いたリハビリテーションの効果

・四肢の拮抗筋間の活動量に変化をもたらす ・α、γ運動繊維の発射の増加により、筋紡錘からの求心性発射を介して中枢への固有感覚入力を増加させる ・負荷が障害部位に対する被験者の認識を高め集中力を高める ・持続的に筋紡錘を伸張することにより、 筋紡錘からの求心性発射を増加させる

弾性包帯を含む装具療法の即時的な制動作用が、上肢の動揺を軽減し、結果として課題の難易度を下げることに役立ち、患者は正確な制御というスキーマに集中することができる。

このことは、無装着時に「制動」と「正確な制御」というdual taskを強いられていたDLPFCの過負荷を、「正確な制御」というsingle taskに軽減させることに役立つのではないかと考える。

コアトレと重度運動失調におけるリハビリテーションの可能性

文献の概要

要旨:〔目的〕 Core stability training ( CST )が運動失調とバランス能力に及ぼす影響について検討した. 〔対象と方 法〕発症から 3 年経過した橋出血後の50歳代男性. 運動麻痺はなく四肢体幹に重度運動失調, バランス障害,歩行障害を呈していた. 週1回 60分, 理学療法士が自宅訪問し介入した. 介入開始から4週間( A 期)は, 筋力増強練 習, 寝返り, 移乗の練習を行った. その後の 4 週間( B 期)は, それらに CST を付加した. 〔結果〕 B 期においてのみ, scale for the assessment and rating of ataxia のスコアが 3.5 点, Ber g balance scale のスコアが 2 点改善した. 〔結語〕 CST は重度運動失調症例の運動失調とバランス能力を改善する可能性がある.

阪本 誠ら「Core stability training により運動失調および バランス障害が改善した重度小脳性および 感覚性運動失調の1症例」理学療法科学 32(3): 459–464,2017

用語の確認:Core stability training (CST) 用語の確認:scale for the assessment and rating of ataxia (SARA)

SARAは8つの評価項目( 歩行,立位,坐位,言語障害,指追い試験,鼻指試験,手の回内回外運動,踵すね試験 )から構成され、施行時間は4分と短く、簡便に評価が可能で、日常的に使用できる半定量的なものです。

体幹部の安定と失調改善の関係性 コアスタビリティートレーニングの実際

動画でさらに詳しい解説を確認

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