【ロングインタビュー】東京医療保健大・恩塚亨コーチ/行き過ぎた“成長至上主義”に警鐘
【ロングインタビュー】東京医療保健大・恩塚亨コーチ/行き過ぎた“成長至上主義”に警鐘

【ロングインタビュー】東京医療保健大・恩塚亨コーチ/行き過ぎた“成長至上主義”に警鐘

約1年前のインカレ女子決勝戦、4度の延長にわたる死闘の末、東京医療保健大は白鷗大に敗れた。しかし雪辱を誓って始まった新シーズンは、トーナメント、新人戦、リーグ戦、インカレ、皇后杯の「5冠」という高い目標を掲げ、ここまで3つのタイトルを制して...

そうですね。キャプテンの清水はもちろん、これはチーム全体として、1年生によく声をかけてきました。僕自身も、今年は特に選手たちと話す機会を増やしたんですが、ジョバともたくさん話をしましたね。彼女こそ特に、押し付けたらダメな選手。「自分はどんな選手になりたいのか」とか「何のためにうちに来たのか」といったことを、常々確認しながらやってきました。彼女もそこをぶらさず、すごくハードワークして、しっかり学んでステップアップしてくれています。 選手たちと食事やお茶をしながら、彼女たちが何を考えてどんな壁にぶつかっているのか聞いたり、自分の考えを伝えたりする中で、多くの気付きがありました。加えて、より選手たちも“自分ごと”になっていった印象があります。それは試合に出る、出ない関係なしに、ですね。 リーグ戦のビデオを見返してすごく良かったのが、全勝優勝の懸かったリーグ最終戦、応援席の選手たちが、思わず立ち上がってコートの中の選手と一緒にクローズアウトをするんですよ。そんな姿を見て改めて、全員が勝ちにこだわって“自分ごと”として一緒に戦えたなと感じました。 それに、今年はめちゃくちゃみんな練習するんです。昔は自主練の様子も僕が見ていたことがあったのですが、今はゼロ。僕が見ていなくとも、絶対一生懸命にやると分かっていますから。目標が明確になったことによって、勝つためとか、自分の人生を良くするために貪欲に練習しているな、という感じがします。

大事なのは「夢をかなえるための賢さと強さ」

ーーすごく信頼しているのですね。

昔は、信頼してないわけではないですが「僕が全部見ないと」と考えていた時期もありました。でも、それってやっぱり選手たちの心に火をつけられていなかったからだと思います。 では、心に火をつけるためにはどうすればいいのか。僕はその条件が3つあると思っています。①ワクワクする夢がある、②効果的な方法を理解している、③自分に自信がある。この3つが全部そろえば、心に火が付いて自然と頑張れるものだと考えているんです。 例えば、海外旅行などが分かりやすいかもしれませんが、行こうと決めたときからもうワクワクするじゃないですか。「何をしようかな」「どんな準備をしようかな」と、自発的に前向きな姿勢になれる。だから学生たちによく言います。「人生がつまらないと思うのだとしたら、それは夢や目標がつまらないんじゃない?」って。つまり、夢とか目標って、世のため、人のためになるような高貴なものである必要は全くなくて、自分がワクワクするものだったらそれでいいんです。そういう夢や目標を持てると、自然とエネルギーが湧いてきます。こういう話は、2月頃から選手たちにずっとしてきましたね。

ーー恩塚コーチはよく、大学で4年間を過ごす価値や意味という話をされていますが、心に火を付ける方法、というのもその一つですね。

ーースポーツ以外の分野にも、生かせそうです。

ーーむしろビジネス界よりスポーツ界の方が、上位数人に入らなければ代表選手になれないことを考えるとシビアな世界かもしれませんね。

ーー口で伝えるだけでなく、そこまでするんですか。

選手たちにもよく言うんですが、「全力=自力+他力」です。全ての力というのは、自分だけの力ではないわけですね。ほかの人からも学んで、力にしてほしい。僕自身も、他人からどんどん学んでいます。 それに、「心に火を付けよう」とか「ぶれない信念を持とう」とか、一回言っただけでは伝わらないと思っています。何度も、アプローチを変えながら積み重ねることが大事。僕以外の人に伝えてもらうこともそうです。 あとは、“正しさ”を伝えるより、「こうしたら良いことがあるよ」とメリットを伝えることを常に心掛けていますね。

ーー正しさでは人は動かないということですね。

ーー恩塚コーチ自身が、口で言うだけでなく、選手たちと同様に全力を尽くしているわけですね。

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