簡単に書ける方法を具体的にお伝えします【日本語教育能力検定試験の対策】
簡単に書ける方法を具体的にお伝えします【日本語教育能力検定試験の対策】

簡単に書ける方法を具体的にお伝えします【日本語教育能力検定試験の対策】

記述問題6ヶ条これは書く順番ではなく、記述を書く前と書いた後にチェックする項目。以下ができているか確認1,問いに応える。2,問題文の言葉をなるべく使う。3,反対意見の根拠に配慮する。4,問題文の言葉を解釈する。5,抽象論・一般論に加え、具体...

聞かれていることとは違うことを答えて「何言ってるんだコイツ」と採点者を呆れさせることになってしまいます。一方で、同じ状態(昨日の夜に何を食べたか忘れたので、問題文に対応した答えが書けない)でも、「私は昨日の夜、何も食べなかった。昼に吉野家の牛丼を食べたからだ〜」のように、最初の一文を問いに対応させることで、「この人は問いに応える姿勢があるな」と採点者にアピールできるのです。本試験で、知識が足りなくて問いに対応したことが書けない思い浮かばない、と感じても、最初の一文は、上の例のように、問いの言葉を使って書いてください。

平成27年度記述式問題の問いに応える

記述問題が苦手な方には、このように問いが複数あるときに、どちらか一つの問いに応えるだけで満足してしまう人がいます。ダメです!忘れないように、問題文の問いには、○で囲むなど印をつけてください。

平成27年度記述問題の書き出しは以下のとおりになります。

メインの問い『あなたはこの申し入れを受け、今後このクラスでの活動をどのように進めていきますか』解答『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。』

太字部分が問題文の問いの言葉を使っている部分です。それ以外の部分は好きに書いてください。もちろん反対意見でも構いません。

問題文の言葉をなるべく使う

記述式問題の採点をしていると、問題文にヒントとなるキーワードが散りばめられているのに、それを使わずに、わざわざ自分の言葉で書こうとする人がたくさんいます。オリジナリティをアピールしたいのでしょうか?よっぽど優秀な方以外は失敗しますので、やめてください。せっかく問題文があるんですから最大限利用しましょう。

平成27年度記述式問題の言葉をなるべく使う

平成27年度日本語教育能力検定試験の記述問題も、問題文が9行もあるので、「これはありがたい」と思って問題文の言葉をできるだけ流用してください。問題文の言葉を可能な限り使うことで、問いに応える姿勢を採点者にアピールできます

【問題文の言葉をなるべく使う】という視点で、平成27年度記述式問題の解答の続きを書きます。まず、書き出しは、『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。』でした。この一文も問題文の言葉をしっかり使っていますね。

冒頭で簡潔に答え(自分の考え)を書いたら、次は簡潔に理由を書きます。問題文に使える言葉はないかと探すと、ディベートを取り入れた目的として「論理的思考能力を高める」というキーワードがありました。このキーワードは、サブの問いにもなっていますので、【問いに応える】という意味でも、必ず使わなければならない言葉です。必ず使わなけばならない言葉はなるべく早く使ったほうがいいです。後にとっておくと、忘れたり、時間が足りなくなったりしますから。最も大事なメインの問いに一文目で応え、次に大事なサブの問いに二文目で応えます。合わせると以下の答えになります。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。』

太字部分がそれぞれ、メインの問い『あなたはこの申し入れを受け、今後このクラスでの活動をどのように進めていきますか』サブの問い『「 論理的思考能力を高める」ためには何が必要かについて、あなた自身の考えも明示してください」という問題文の言葉を使っています。

反対意見の根拠に配慮する

自説とその理由付けを簡潔に書いたら、次は、反対説へ配慮しましょう。自分が柔軟で心の広い人間であることを採点者にアピールするのです。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。』

平成27年度記述式問題の反対意見の根拠に配慮する

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。』※太字部分が問題文の言葉を使っています。

これで、反対意見に配慮して、心の広い人間であることを採点者にアピールできました。しかし、記述問題対策第3条には【反対意見の根拠に配慮する】と書きました。そこには理由があるのですが、第4条【問題文の言葉を解釈する】とも関わってくるところなので、第4条で説明します。

問題文の言葉を解釈する

誰でも簡単に高得点が狙える記述式問題の書き方を教えると言っておきながら、その解答は問題文をコピペしてるだけじゃないか。こんなんで高得点が狙えるのか?」

大学の入学試験に始まり、会社の採用試験、教職員採用試験、司法試験、日本語教育能力検定試験など、様々な分野の試験において、記述式問題は登場します。私は全ての分野の記述式試験を把握しているわけではありません。しかし、いくつかの分野の記述式問題を仕事あるいは個人的に添削させて頂いたことはあります。共通して言えるのが、問いに応えている答案が少ないということ。苦手な方が書く記述答案は問いに対応していないのです。「問いに答えてください」と初めは抽象的に指摘していたのですが、それではあまり効果がありませんでした。苦手な方は「問いに答えるとはどういうことか」が分かっていなかったのです。そこで私が生み出したのが、1行目は問題文の問いの言葉をそのまま使って答えを書くこと。2行目以降も問題文の言葉をなるべく使うこと。この具体的な指導によって、記述式問題が苦手な方でも問いから離れることは少なくなりました。

問題文の言葉をコピペすることで、土台が固まったからです。しかし、問題文の言葉を書き写すだけだと字数が足りませんし、「コイツ何も考えていないんじゃないか?」と採点者に思われてしまいます。そこで、固めた土台の上に自分の考えを築くのです。

苦手な方が今まで書けなかった、書いても点数が伸びなかったのは、目印も何もない広大なグラウンドに、いきなり自分の力で家を建てようとしたから失敗したのです。最初から自分の考えを書くのではなく、まずは問題文の言葉を尽くして答案の方向性を定める点がこのメソッドのポイントです。

この3点で組み立てたのは堅固な土台ですから、よほどのことを書かないかぎり問いから外れることはありません。今こそ、あの言葉を思い出しましょう

記述問題対策第4条【問題文の言葉を解釈する

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。』

平成27年度記述式問題文の言葉を解釈する

もちろんこれが絶対の正解ではありません。自分が思ったことを書けばいいのです。何も思い浮かばなかったら?書かなくても構いません。問題文から反対意見を書き写すだけでいいです。公式解答も問題文の反対意見を書き写しているだけです。

なので私は「反対意見に配慮する」ではなく、「反対意見の根拠(理由・原因)に配慮する」ことを勧めています。反対意見は問題文に書かれていましたが、その根拠(理由・原因)は書かれていませんでした。そこで、問題文の言葉(ここでは反対意見)を解釈した(ここでは反対意見が出てきた原因を探ること)のです。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。』

抽象論・一般論に加え、具体論・個別論も書く

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。』

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。 しかし、それこそがディベートの目的である。自分と違う意見を述べるには、まず自分を理屈で納得させなければならないので、いつもと違う視点で深く考えなければならない。すると、物事を多角的に見る力が身につき、論理的思考能力も高まるのである(←メインの問いに対する答えを論じながら、サブの問いに対する答えも補強しています)。日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。』

いけない。記述問題対策を説明していたのを忘れて、最後まで書いてしまうところでした。とりあえずここまでにいたします。読み返して思ったのですが、無駄に字数を使いすぎていますね。「普段とは異なった視点で物事を考えなければならない」「いつもと違う視点で深く考えなければならない」このあたりが重複しています。完璧を求めるならばどちらかを削除して、論旨をスッキリさせたいところですが、記述問題で大事な考え方の一つは、完璧な答案を書こうとは思わないことなので、これでよしとします。

完璧な答案を書こうとすると、書けなくなってしまう・時間が足りなくなってしまうことが多いので、記述対策前三条で基礎を固めたあとは自由に書くことが大事なんですね。多くの人が不十分な基礎固めさえしっかりできていれば、高得点は狙えます。と言っても指針は必要だ。そんなわけで、第5条の登場です。

上記の答案を見てみると、抽象論・一般論・理想論が多いですね。論理的思考能力が高まるだの、多角的な視点だの。もちろん、抽象論・一般論も大事なんです。しかし、それに加え、具体論・個別論という異なった視点から自説を補強することで、さらに説得力が増すんですね。ここでも多角的な視点が大事なんです。

日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。』

ここでも問題文の言葉(太字部分)をさりげなく使って、問題文をしっかり読んでいることを採点者にアピールしました。ただし、問われていることとは離れているので、字数が足りなければ削除すべき部分です。

もう1つのポイント

だから、ここでは譲歩して、学習者の意見に耳を傾けることのできる、心の広い教師であることを、採点者にアピールしたいと思います。

しかも抽象論ばかり書いていたので、具体的に譲歩する必要があります。

『もちろん、学習者の申し入れに対する配慮も考えたい。例えば、最初の授業では自分と同じ立場で立論させる。そのかわり、次の授業では反対の立場に立たせる。「自分で自分の意見を論破できるかな?」というのは面白そうで受け入れられやすいのではないか。』

このように抽象論と具体論、両方の視点から論じることで、解答に厚みが生まれます

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。 しかし、それこそがディベートの目的である。自分と違う意見を述べるには、まず自分を理屈で納得させなければならないので、いつもと違う視点から深く考えなければならない。すると、物事を多角的に見る力が身につき、論理的思考能力も高まるのである。日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。 もちろん、学習者の申し入れに対する配慮も考えたい。例えば、最初の授業では自分と同じ立場で立論させる。そのかわり、次の授業では反対の立場に立たせる。「自分で自分の意見を論破できるかな?」というのは面白そうで受け入れられやすいのではないか。』

問題作成者と採点者の気持ちになる

そうすれば客観的な視点で自分の答案を眺めることができます。

『記述問題は、前回(平成15年)の試験改定時に示された「日本語教育は広い意味でコミュニケーションそのものである」という観点から、論理性と日本語力を測るものとなります。測定の対象となるのは主張の正当性ではありません。主張を正確に説得力をもって相手に伝えられるかどうかを、書記言語の側面から測定します。』(日本語教育能力検定試験「よくある質問」より)

1,問題文に印をつける問題文を読んだときに、①使えそうなキーワード、②問われていること、この2点は必ず線を引くなり、丸で囲むなりして、印をつけてください。なぜか?何を書くか、構成を考えているうちに忘れてしまうからです。特に問いが複数あるときは、一つの問いのことを考えている間に、別の問いのことを忘れてしまいがちなので、必ずマークをつけて、1,2,と数字を書き込んでおくことを強くオススメします。

2,記述問題で一番大事なのは書き出し書き出しを制するものは記述問題を制します。記述式試験に苦手意識のある方は、公式解答のような書き方を真似しないでください。問題文の問いの言葉を使って自分の意見を書いてください。書き出しを誤ると、問いからずるずる離れていく恐れがあります。問いの言葉を使って、問いに対応させましょう。

3,最後のまとめは字数調整に使う市販されている論文(記述式)問題の書き方には、冒頭に自分の立場を述べ、最後も自分の立場を主張して締めるというサンドウィッチ構成を推奨しているものが多いと思いますが、日本語教育能力検定試験の記述問題においては、最後のまとめ(自説の再主張・問いへの再回答)は、必須とは思いません。なぜか?字数が足りないからです。たった400字しかないのに、書くべきことは多いので、最初と最後、二度も自説を書くスペースはなかなか作れません。平成27年度記述問題の公式解答も、一段落目でサブの質問に対する自説の主張、二段落目で反対説。三段落目でメインの質問に対する自説の主張という構成になっており、サンドウィッチ型ではありません。私がオススメした、苦手な人でも簡単に高得点が狙える記述問題の書き方は、冒頭で自分の立場を書きます。最後のまとめは、字数が余れば、問いに対応する形で書いてください。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。 しかし、それこそがディベートの目的である。自分と違う意見を述べるには、まず自分を理屈で納得させなければならないので、いつもと違う視点から深く考えなければならない。すると、物事を多角的に見る力が身につき、論理的思考能力も高まるのである。日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。 もちろん、学習者の申し入れに対する配慮も考えたい。例えば、最初の授業では自分と同じ立場で立論させる。そのかわり、次の授業では反対の立場に立たせる。「自分で自分の意見を論破できるかな?」というのは面白そうで受け入れられやすいのではないか。以上のとおり、今後このクラスでの活動を進めていきたいと考える。』

勉強しすぎて失敗するパターン

私が言いたいのは、勉強しすぎると、その知識に引っ張られて本試験の記述問題で失敗する恐れがあるということです。

読み手(受け手)ではなく、自分中心で書いているのです。

知識がありすぎる状態で、本試験の記述問題に取り掛かると、「ああ、この問題は前にも見たな。あれと同じように答案を書けばよいぞ」「やった! これ予備校でやったやつとほぼ同じだ! 同じように書けば楽勝!」などとつい考えてしまいます。そのまま答案を書き始めると、失敗する可能性大。

例えば、日本語クラスでディベートを取り入れるというテーマの記述問題でも、

私は22歳のときに旧司法試験に受かりました。合格者の平均年齢は約30歳です。ベテランの受験生に比べて若く明らかに知識も経験も足りなかった私が生み出した論文対策が、「問いに始まり、条文につなげ、あとは適当に書く」というものでした(司法試験の論文試験では司法試験用六法が使えます)。「問いの言葉」と「条文の言葉」で答案を埋めて、知識の足りなさをカバーするのです。この書き方には、思わぬ利点がありました。既有知識に頼らないので、ストレートに問いに対応できるのです。日本語教育能力検定試験では六法が使えませんから、「問いの言葉」しかありませんが。

2023年度日本語教育能力検定試験記述が書けるようになる会

そこで私は知識が少なくても合格答案が書ける方法を毎年お伝えしています。

問いに答える』ことです。