【雲の峰いくつ崩れて月の山】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞・作者など徹底解説!!
五・七・五の17音で綴られる小さな定型詩の「俳句」。 季語を使って作られる俳句は、その短い言葉の中で、人の心情や自然の豊かさを感じることができます。 今回は、松尾芭蕉の有名な句の一つを紹介してい
五・七・五の十七音に四季を織り込み、詠み手の心情や情景を詠みこむ俳句。 名句と聞くと、の作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 秋田便の飛行機から見る月山が好きです。 今日は残念ながら雲に隠れていましたが、松尾芭蕉の句を思い出しました。 雲の峰 いくつ崩れて 月の山 pic.twit.
季語この句の季語は 「雲の峰」 、季節は 「夏」 です。
雲の峰は、 むくむくと盛り上がった夏の入道雲のこと です。
意味こちらの句を 現代語訳 すると…
「昼間に立っていた高い雲の峰が、いったいいくつ崩れて、いくつ築き上げられ、この月光のもと神々しい月山になったというのだろうか。」
この句に出てくる「雲の峰」は、ただもくもくと盛り上がる入道雲を表しているのではありません。その雲たちが何度も湧き上がっては崩れるを繰り返す、 時間の長さ を表しています。
また、その時間の長さは、 芭蕉が月山に登った時間の長さを表しているのではないか と言われています。
そして、「月の山」は月山の名前を表しているだけではなく、 月光に照らされた山 という意味でもあります。
この句が詠まれた背景この句は、「おくのほそ道」に収められており、元禄 2 年( 1689 年)ごろ、芭蕉が 46歳の頃に詠まれた とされています。
芭蕉は、旧暦 6 月 6 日に、月山 ( がっさん ) に登頂しました。
この句は頂上での景色を詠んだのではなく、 月山を真正面から見たときに詠まれた句 です。
「雲の峰いくつ崩れて月の山」の表現技法
「月の山」の体言止め体言止めは、 語尾を名詞や代名詞などの体言で止める表現技法 です。
芭蕉が、「あの雲の峰が何度も何度も崩れ創り上げられ、この月光のもと、神々しい月山になったのか」と、 月山の雄大なその姿への感嘆を強調しています。
「月の山」と「日の光」の対比おくのほそ道の旅で、日光東照宮に訪れて詠んだ句 「あらたふと青葉若葉の日の光(あらとうと あおばわかばの ひのひかり)」 というものがあります。
【あらたふと青葉若葉の日の光】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!江戸時代、俳諧や発句の芸術性を高めたといわれるのがあの有名なです。 旅をしながら句を詠み、旅行記と詠句をまとめた俳諧紀行文を多く執筆しました。 その中でも有名なものは「おくのほそ道」です。江戸から奥州を目指し、北陸をまわって岐阜の大垣にいたるまでの道中を俳諧紀行文でまとめ上げたものです。 今.
日光が太平洋側を、今回の句の月山が日本海側を表し、日の光と月の山をかけて、意図的に対比させています。
句切れ句切れとは、 意味やリズムの切れ目のこと です。
この句の場合、初句(五・七・五の最初の五)に、「雲の蜂」の名詞で区切ることができるため、 初句切れ の句となります。
「雲の峰いくつ崩れて月の山」の鑑賞文
月山は山形県の庄内地方にある 出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)の一つ です。
この句の中で、変化する雲が「動」、変わらない月山が「静」で、 動と静が両立した作品 となっています。
この句を目にした時、 夏の青空にもくもくと湧き上がる白い雲と、月の光に照らされ優しく光る山の姿が目に浮かびます。
月山への登山の様子芭蕉はこの句で、羽黒山・月山・湯殿山の 「出羽三山」に登ってお参り をしています。
「八日、月山にのぼる。木綿しめ身に引きかけ、宝冠に頭を包み、強力といふものに導かれて、雲霧山気の中に氷雪を踏んで登る事八里、更に日月行道の雲関に入るかとあやしまれ、息絶え身こごえて、頂上に臻れば、日没して月顕はる。笹を敷き篠を枕として、臥して明くるを待つ。日出でて雲消ゆれば、湯殿に下る。」
登山が流行っている現在とは違い、登山道も整備されていない 非常に厳しい道 を歩いて行ったことが伺えます。
出羽三山への信仰出羽三山は昔から 山岳信仰の山 として崇められています。
特に湯殿山への参拝は規則が厳しく、 「語るなかれ、聞くなかれ」 と言われています。
「かたられぬ 湯殿にぬらす 袂かな」
羽黒山と月山の詳しい描写に対して、湯殿山に対してだけは 「すべてこの山中の微細、行者の法式として他言する事を禁ず」 として筆を置いているのです。
さらに、靴などの履物を脱いで裸足になり、お祓いを受けてからでないと参拝できないなど、 厳しい制限 があります。
作者「松尾芭蕉」の生涯を簡単にご紹介!
松尾芭蕉は、寛永 21 年(1644年)伊賀上野、現在の三重県伊賀市に生まれました。
本名を松尾宗房 ( むねふさ ) といい、 13 歳の時に父親を亡くしています。19歳の時に、主君藤堂良忠に仕えました。その良忠が俳人であったため、芭蕉も俳諧の道に入ったとされています。
良忠が 25 歳の若さで亡くなったため、 23 歳だった芭蕉は藤堂家を退き、江戸で修行をしました。
江戸での修行の甲斐あって、俳諧宗匠になるものの、 37 歳の時に深川の芭蕉庵に移り住みました。
芭蕉が 46 歳の時、門人の曾良とともに江戸を発ち、約 5 ヶ月間にも及ぶ芭蕉の一生の中で最も長い旅に出ました。その旅の中でもとても優れた俳句をたくさん生み出しました。
おくのほそ道は、この長い旅の記録と旅の中で詠んだ俳句をまとめた俳諧紀行文です。旅から 5 年後、推敲に推敲を重ね、おくのほそ道が完成しました。
その同じ年、元禄 7 年に、大坂にて 51 歳で亡くなりました。
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- 1 「雲の峰いくつ崩れて月の山」の俳句の季語や意味・詠まれた背景
- 1.1 季語
- 1.2 意味
- 1.3 この句が詠まれた背景
- 2.1 「月の山」の体言止め
- 2.2 「月の山」と「日の光」の対比
- 2.3 句切れ
- 3.1 月山への登山の様子
- 3.2 出羽三山への信仰
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