【図解】ダイアライザのウェットタイプ、モイストタイプ、ドライタイプの違い
【図解】ダイアライザのウェットタイプ、モイストタイプ、ドライタイプの違い

【図解】ダイアライザのウェットタイプ、モイストタイプ、ドライタイプの違い

血液透析で使うダイアライザには、補充液が充填されている「ウェットタイプ」、補充液が充填されていない「ドライタイプ」、そして中空糸内にのみ補充液が充填されている「モイストタイプ」があります。 これら3タイプの違いを解説します。

Q7) なぜ、中途半端にモイストタイプというものがあるのか?

A7) ご質問第6項に記述したPVPの架橋構造を形成するためです。 PVPの架橋構造は、γ線を照射した際にPVP分子構造内に生じるラジカルによって形成されるのですが、この時、反応の場として水環境が必要になります。 また、空気すなわち酸素が同時に存在しますと、大量に発生した酸素ラジカルがPVP架橋を通り越して分解反応を促進してしまいます。 当初ドライ製品を標榜しておりましたが、ドライ品では反応の場としての水分がなく、しかも分解反応を促進する酸素が豊富な環境下ですから、PVPは架橋構造を取らずに分解してしまいました。 そこでモイストタイプ中空糸では、反応の場として中空糸に水分を残し、周辺の酸素(空気)を窒素に置き換えて分解反応を防いで、架橋構造を作らせることに成功しました。

引用:一般社団法人 富山県臨床工学技士会

なぜ、中途半端にモイストタイプがあるのかというと、PVPの架橋構造を形成するためです。

架橋構造:γ線滅菌による、PVPとPS、あるいはPVP同士のベンゼン環の結合により、PVPが固定・不溶化することを架橋反応といいます。この架橋構造によってPVPの溶出を減らすことができます。

このPVPの架橋構造のメリットとしては、透析中のPVPの溶出を減らすことができます。

東レのトレライトNVシリーズは、PVPの架橋構造によって、プライミング溶液中のPVPの量が少ないと報告されています。

まとめ:ウェットタイプ、ドライタイプ、モイストタイプの違い

ドライタイプ
  • 中空糸の内外に補充液が充填されていない
  • プライミングのときのエアー抜きが難しい (ただし、現在のダイアライザではドライタイプでもエアーが抜けないということはほとんどない)
  • 品質保持や膜の乾燥防止(保湿剤)のためグリセリンが使われてることがあり、しっかりと洗浄が必要
  • PES膜では、PS膜と似た化学構造をもっている疎水性の膜なのでPVPが含まれている
  • 軽量で運搬が容易
  • 中空糸の内外に補充液がないので凍結する心配がない
ウェットタイプ
  • 中空糸の内外に補充液が充填されている
  • 補充液が充填されている理由は、膜の材質を維持するため (合成高分子膜の多くは乾くと生体適合性や除去性能などに影響が出てくるため、潤った状態を保つ必要があります。)
  • プライミングのときのエアー抜きが容易
  • 補充液の分だけ重量がかさみ輸送にコストがかかる
  • 寒冷地では補充液が凍結して中空糸が破損する恐れがある
モイストタイプ
  • 透析膜内にのみ補充液が充填されている
  • 中途半端にモイストタイプがある理由としては、PVPの架橋構造を形成するため (このPVPの架橋構造を形成するためには、反応の場として中空糸に水分が必要であるため、モイストタイプが開発されました)
  • PVPの架橋構造によってPVPの溶出が少ない

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