「トンデモ医療」にはまるがん患者を減らすためにはどうしたらいいのか
がん治療は、この10年で確実に進歩しています。それなのに、その治療を選ばずに、詐欺的な治療の被害に遭い、命を失う患者さんが現実に存在しているのです。
その日は夕方に「新患」と呼ばれる、初回の患者さんがいらしたのです。その中年の男性に話を伺うと、「実は去年のいまごろがんと診断されたのですが、色々調べたら『がんは治療しないほうがいい』『抗がん剤は危ない』『こういうサプリがいい』という情報がでてきて、それで病院に行くのをやめたんです」と。 検査をすると、がんは体中に転移し、もはや手術ではどうしようもない、取り切れない状況でした。去年診断されたときに受けていた検査結果を見ると、ステージは4までいっておらず、CT画像を見ると手術で取り切れるものでした。 私は非常に悔しい思いをしました。患者さんに「以前手術していれば取り切れたこと」「いまは治る可能性はまずないこと」をそのまま伝えることは酷でしたので、「これから頑張りましょう」とだけ言ったのです。
こうしたことが今、日本でたくさん起きています。がんを治療する医師の方は、たいていこういう経験をしています。