『連続殺人鬼カエル男』ネタバレ・あらすじ どんでん返しの有名作を解説
『連続殺人鬼カエル男』ネタバレ・あらすじ どんでん返しの有名作を解説

『連続殺人鬼カエル男』ネタバレ・あらすじ どんでん返しの有名作を解説

こんばんは、紫栞です。今回は中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男』をご紹介。 あらすじ埼玉県飯能市にあるマンションで女性の他殺体が発見される。遺体は全裸で、口にフックをかけられ、13階からぶら下げられているという凄惨極まるものであった。そして、その傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文が置かれていた。 「きょう、かえるをつかまえたよ。はこのなかにいれていろいろあそんだんだけど、だんだんあきてきた。おもいついた。みのむしのかっこうにしてみよう。くちからはりをつけてたかいたかいところにつるしてみよう。」 異常者の犯行とみて捜査を開始する警察だが、その捜査をあざ笑うかのように第二、第三の殺人事件が…

私個人としては、読み終わった直後の感想は「満足したな」というものでした。どんでん返し系ミステリなんだという前知識があったので、驚きはしたものの「想定内さ」という気構えだったのですが、期待通りのどんでん返しの後にまた意表を突く真相が最後の最後で判明する、「良い意味での期待の裏切り」があって、この系統のミステリの愉しさを最後の一行まで味わわせてくれた小説だったなぁと。空恐ろしい終わり方をするのですが、私には恐怖よりもミステリ的満足感が勝りましたね。どんでん返し系ミステリのオススメランキングで上位にくるのも納得の作品です。

ドラマ 『連続殺人鬼カエル男』は、2020年1月10日から『このミス』大賞ドラマシリーズの第4弾として実写ドラマ化が決定しています。関西テレビでの放送とU-NEXTでの配信予定。全八回。キャストなどの詳細はまだ不明ですね。

「カエル男」 と呼ばれる犯人が陰惨な殺人を繰り返すという点から、漫画で映画化もされた 『ミュージアム』

posted with ヨメレバ 巴 亮介 講談社 2013年11月06日頃

古手川・渡瀬 今作での中心人物は刑事の古手川と渡瀬。主役の古手川は一年前に捜査一課に配属された若手刑事。自尊心と功名心が高く、上司である渡瀬に対しても能力が高いことは認めつつも「いけ好かないオヤジだ」と反発心や嫌悪感を抱いている生意気な若造で、読者的にはそっちが「いけ好かないガキだよ」って感じ(^_^;)

この古手川と渡瀬のコンビは他作品でも脇役として度々登場するらしく、特に2011年刊行の 『贖罪の奏鳴曲』 では今作とリンクする部分が多数あります↓。

posted with ヨメレバ 中山七里 宝島社 2011年02月

気になる点 今作ではミステリ的な仕掛けや謎解き要素とは別に、得体の知れぬ猟奇殺人犯が出没したことのよる街の人々の動向が描かれていています。

色々なレビューでも書かれていることですが、ここの 乱闘場面が異様に長く て 読んでいて中だるみする・・・と、いうか、ミステリ小説なんだかバイオレンス小説なんだか、私は今、何を読んでいるんだ?と混乱してきます(^^;)

ここまでの騒動になるのかも少し疑問で、リアリティが感じられないというのもあるのですが、そこはまぁ追い詰められればあり得るかとも思いますし、そういう人間の恐ろしさを描くことで正常と異常の紙一重さを表すのが著者の意図なんでしょうが、 それにしても長い ですね。どう考えても、もっとこの描写は短くていいでしょうと。

しかも、この警察署襲撃で大怪我を負った古手川はさらにその後、傷も癒えないうちに二回も犯人と生死をかけた格闘をしています。常人ならばどう考えても死んでいる。古手川の不死身っぷりはある意味今作一番のミステリです。

仕掛け 物語りは一・吊す二・潰す三・解剖する四・焼く五・告げる

主な語りは古手川ですが、合間合間に犯人と思われる人物の生い立ちを振り返る独白場面が挿入されています。名前は 「ナツオ」 。十歳の頃より父親から性的虐待を受け、代償行為として小動物の殺生にいそしむようになり、エスカレートして十二歳の時に近所の女の子を殺害。逮捕され、医療少年院おくりになるまでが描かれています。医療少年院を出所する際、家庭裁判所に改名を申請出来るという情報が作中で提示されるため、言動の類似点などから有働さゆりが保護司として面倒をみている前科者・当真勝雄がこの独白の語り手で「カエル男」なのだと読者に思わせるように描かれています。やがて当真勝雄の部屋から古手川が物的証拠を発見。勝雄は逮捕され「自分がやった」と犯行を自供しますが、実は「カエル男」の正体は勝雄の保護司である有働さゆり

有働親子に一時癒やされ、真人の死によって「カエル男」を捕まえるべく執念を燃やしていた古手川にとってはこれ以上ないくらい非道な真相ですよね。まさに悪夢。

なんにせよ、「やられたな」と。王道ながら意表を突く仕掛けですね。最初の犯行の、口にフックをかけて13階から吊すとうのも、力のある男性でないと困難だろうという先入観や(※コレには物理的なトリックがある)、犯人を表す名称に“男”とついているなどの部分も性別誤認のトリックに作用しています。作品タイトル自体が読者を騙す仕掛けとして使われているのは別の叙述モノの有名作にもありましたね↓

御前崎

本命の標的とその関連を悟らない目隠しのために名前の五十音順に殺人を繰り返すというのはアガサクリスティーの 『ABC殺人事件』 での設定そのままですね。

posted with ヨメレバ アガサ・クリスティ/堀内静子 早川書房 2003年11月

被害者たちは五十音順に、荒尾礼子(あらおれいこ)指宿仙吉(いぶすきせんきち)、そしてさゆりの息子である有働真人(うどうまさと)、弁護士で病院に入院中だった衛藤和義(えとうかずよし)と殺されていきます。

勝雄に続き、改めて犯人として有働さゆりが逮捕される訳ですが、第五章の「告げる」の後半で、さらに真相は一変します。勝雄とさゆり、両方の治療を受け持った精神科医・御前崎宗孝こそが有働さゆりを操り、「カエル男」事件を引き起こさせた張本人なのだと渡瀬の追求により明らかになるのです。

「(略)世論も法曹界も刑事責任の追及よりは少年の健全育成が重要なのだという。良かろう。人を殺めた者も寛解状態を認められれば社会に復帰する。それも良かろう。だが、それは人を喰らった獣を再び野に放つことだ。野に放てと叫んだ者は、その獣と隣り合わせに暮らす恐怖を味わう義務がある」

「(略)あの爺さんがしたことは復讐なんかじゃない。いくら娘の無念を晴らすためでも、自分で手を汚さずに無関係な人間を巻き添えにするなんてただの腹いせじゃないか。あの爺さんは嘘を吐いている」 「その通りさ。ただな、嘘ってのは他人に吐くんじゃない。大抵は自分に吐いているんだ。そうやって嘘吐きは自分の首を絞めていく」

直接手を下した訳ではないため、古手川と渡瀬は真相を知りつつも御前崎教授を逮捕することが出来ません。古手川は弁護士の他にも鑑定医と収監中の少年のことも亡き者にしようと御前崎教授が企てるのではと危惧しますが、教授には皮肉な 因果応報 が待ち受けていました。有働さゆりが逮捕されたことにより、当真勝雄は退院後元の生活に戻れることに。洗脳がとけていない勝雄はさゆりの意思を継いで「カエル男」として五人目の獲物を“オ”のつく人物から選びます。

――オマエザキムネタカ。

続編 と、ここで『連続殺人鬼カエル男』は終了しています。「ひぇ~」って感じの終わり方ですが、なんと2018年5月に続編として 『連続殺人鬼カエル男ふたたび』 が刊行されました。

posted with ヨメレバ 中山七里 宝島社 2019年04月04日頃 posted with ヨメレバ 中山七里 宝島社 2011年02月 こんばんは、紫栞です。 今回は、中山七里さんの【嗤う淑女シリ… こんばんは、紫栞です。 今回は、中山七里さんの『殺戮の狂詩曲… こんばんは、紫栞です。 今回は、有栖川有栖さんの小説シリーズ… こんばんは、紫栞です。 今回は相沢沙呼さんの『invert(インヴ… こんばんは、紫栞です。 今回は新川帆立さんの『元彼の遺言状』… プライバシーポリシー

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