選鉱 (読み)センコウ
選鉱 (読み)センコウ

選鉱 (読み)センコウ

デジタル大辞泉 - 選鉱の用語解説 - [名](スル)採掘した鉱石から不用鉱物を取り除き、鉱石の品位を高めること。「磁力を用いて選鉱する」「選鉱場」

採掘された鉱石は坑内貯鉱舎に切羽(きりは)(鉱石の採掘場)別または品位別に蓄えられる。選鉱では原鉱品位が均一であることがたいせつで、これを考慮して各貯鉱舎より所定の割合で鉱石を抜き出し、選鉱場へ運搬する。選鉱系統は大別して前後二段に分かれる。前段が受入れ、破砕の系統で、原鉱を受け入れたのち、通常、粗砕、中砕の二段破砕を行い、最大数十センチメートルの原鉱を約10ミリメートル以下に破砕して粉鉱ビンに貯鉱する。この系統は坑内作業との関係で普通昼間の一番方のみの操業で、後段の粉砕、浮選の三方連続24時間操業との関連で貯鉱ビンがこれを調節している。破砕には粗砕用としてジャイレートリークラッシャーgyratory crusherまたはジョークラッシャーjaw crusherが、中砕用にコーンクラッシャーcone crusherが使用される。なお、それぞれの段階で砕く必要のない細かい粒子をあらかじめ除くため、篩を組み合わせて用いる。原鉱の性質によっては、この時点で単体分離される不用の鉱物、岩石を重選で除去することもある。また、原鉱中に浮選に悪影響を与える微粒子(一次スライム)を含む場合は、これを除去する分級装置が組み込まれる。

粉鉱ビンから後の系統は粉砕、浮選および産物処理である。粉砕は分級と組み合わせて湿式閉回路で行われ、粉砕機にはボールミルball mill、分級機にスパイラル型または湿式サイクロンwet cycloneが用いられるのが普通である。粉砕粒子径は鉱石の性質により異なるが、最大約200マイクロメートルである。粉砕の目的は単体分離であるが、あまり微細に砕きすぎると浮選に悪影響がある。

改訂新版 世界大百科事典 「選鉱」の意味・わかりやすい解説

選鉱 (せんこう)mineral processingmineral dressing

鉱石の中に含有される有価成分を主として物理的手段によって分離する技術。分離技術そのものを指す場合(狭義の選鉱)と,それにともなう工程すべてを総称する場合(広義の選鉱)がある。すなわち広義の選鉱は,採掘したままでなんら手を加えていない鉱石(原鉱石,原鉱,粗鉱,元鉱などともいう。英語ではraw ore,run-of-mine ore)を処理して,精鉱と廃石とに分離するための操作の総称である。一般に鉱石は多種の鉱物の結晶粒が複雑に共生した状態で産出する。鉱石中の目的成分の含有率を品位gradeと呼ぶが,金属の原料となる鉱石,すなわち金属鉱石の場合,鉄鉱石中の鉄の品位は20~60%,銅鉱石では0.5~3%,鉛・亜鉛鉱では鉛と亜鉛を合わせた品位が4~15%,金鉱石では5~20g/tすなわち5~20ppm程度であり,これらの鉱石をそのまま化学薬品に溶かしたり,加熱溶融したりして,金属成分を分離・回収するのでは,経費がかかりすぎて実際的でないのが普通である(金鉱石の場合には多くの場合に粉砕ののち直接湿式製錬する処理方法がとられている)。そこで,これらの化学的分離技術に代わる物理的・機械的処理技術によって,ある程度までの分離を行うことが必要となる。

選鉱の原理 選鉱のフローシート

現代の選鉱工場は各種の計測・制御装置の導入によってかなり高度に自動化されている。鉱石流量の自動計測はふつうコンベヤベルトに設置されたベルトはかりによって行われ,この計測結果にしたがって,貯鉱舎(ビンbin)からの鉱石の排出量が制御される。さらに微粉砕された鉱石パルプ(スラリー)の流量は電磁流動計によって計測され,同時にγ線密度計や超音波密度計などによって求められるパルプ濃度の計測値と合わせて鉱石流量が算出される。浮選過程ではpHの自動制御はもとより,一部の工場ではオンライン蛍光X線分析装置の導入により,スラリーのままで精鉱,尾鉱その他の中間製品の品位が自動的に測定され,空気量や浮選剤添加量をコンピューター制御するシステムが使われている。オンラインの粒度分布測定装置も実用化され,粉砕回路の自動制御などに利用されるようになってきた。執筆者: 井上 外志雄

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「選鉱」の意味・わかりやすい解説

選鉱【せんこう】

最新 地学事典 「選鉱」の解説

せんこう選鉱

mineral dressing ,mineral processing ,beneficiation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「選鉱」の意味・わかりやすい解説

選鉱せんこうore dressing

有用鉱物を無価値成分から分離し回収する操作。古来種々の目的で行われてきたので,多くの種類がある。 (1) 外観の差により人手によって選別する手選。最も古くから行われてきたが現在では他の選鉱法の補助的手段として用いられているにすぎない。 (2) 比重を利用する比重選鉱。 (3) 表面の濡れやすさの差による浮遊選鉱。 (4) 磁性を利用する磁力選鉱。 (5) 電気伝導度を利用する静電選鉱。 (6) 放射能の差を利用する放射能選鉱など。

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世界大百科事典(旧版) 内の 選鉱 の言及

【鉱山】より

…砂金や砂スズのように砂鉱床に含まれる鉱物を水で崩し,水とともに吸い上げて,その中から鉱物をより分けて採取するドレッジング(浚渫(しゆんせつ))と呼ばれる方法を用いる鉱山もある。 採鉱 [選鉱] 採掘されたままの鉱石は,そのままでは消費者,使用者が利用できる状態になっていないのが普通なので,使える状態になるように手を加える必要がある。金属鉱石の原鉱の多くは,含有する金属成分はきわめてわずかで,そのまま溶鉱炉に装入することはむだが多い。…

【製錬】より

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