自由電子の状態密度 - 二通りの方法
自由電子の状態密度 - 二通りの方法

自由電子の状態密度 - 二通りの方法

自由電子の状態密度 - 二通りの方法 あるエネルギー\(E\)以下の状態の体積密度\(N(E)\)は \[N(E)=\int_0^E D(\epsilon)d\epsilon\tag\]

あるエネルギー\(E\)以下の状態の体積密度\(N(E)\)は \[N(E)=\int_0^E D(\epsilon)d\epsilon\tag\] のように、状態密度\(D(\epsilon)\)を使った積分で表せる。\(D(\epsilon)d\epsilon\)は\(\epsilon\to\epsilon+d\epsilon\)の間にある状態の数を表しているのだ。そういう意味で、状態密度とは、単位体積あたり、単位エネルギーあたりの状態の数を表す、と言われる。

2.箱の中の電子を使う方法

「箱の中の電子」というのは、よくある井戸型ポテンシャルの問題の三次元版だ。箱の端っこでは電子の存在確率が0になっていると考える。つまり、境界条件が \[\psi(x=0,L)=\psi(y=0,L)=\psi(z=0,L)=0\tag\] となるような状況である。

この境界条件以外には、電子は何の力も受けないとすると、このときのシュレディンガー方程式は \[\frac\nabla^2\psi = E \psi\tag\] である。

これを解くと、(1)の境界条件を満たす解として、 \begin \psi_(x,y,z) &= \sin\left(\frac\right)\sin\left(\frac\right)\sin\left(\frac\right)\tag\\ E_ &= \frac\left(\frac\right)^2(n_x^2+n_y^2+n_z^2)~~~(n_x,n_y,n_z =1,2,3. )\tag \end が得られる。これの導出は省略するが、いろんなところに解説が転がっていると思う。

さて、エネルギー\(E\)以下の状態の数\(N(E)\)について考えよう。つまり、 \[\frac\left(\frac\right)^2(n_x^2+n_y^2+n_z^2)\leq E\tag\] となる\((n_x,n_y,n_z)\)の組の数、すなわち\((n_x,n_y,n_z)\)の格子点の数を数えるのだ。

素直にその組の数を数えてやってもいいのだが、もう少し上手い方法がある。まず(5)を少し変形して、 \[n_x^2+n_y^2+n_z^2 \leq \frac\left(\frac\right)^2 E\tag\] とする。左辺の形から、この(6)式は\((n_x,n_y,n_z)\)の空間での球体内部を表す式になっていることがわかるだろう。その半径は右辺の√となる。

格子点というのは、\((n_x,n_y,n_z)\)の空間の例えば(1,1,1)や(1,2,1)や(2,3,1)という点のことだが、これら格子点の間隔はちょうど各辺の長さが1の立方体になっている。だから\((n_x,n_y,n_z)\)の空間の中で、だいたい体積1毎に、スピンの状態も含めると2つの状態が存在しているのだ。よって、球体の中の状態の数はそのまま球体の体積となり、 \[N_v(E)=2\times\frac\frac\left(\sqrt\left(\frac\right)^2 E>\right)^3=\frac\left(\frac\right)^E^\] となる。1/8というのは、\((n_x,n_y,n_z)\)が必ず0より大きいことを考慮して、球の1/8だけを考えることを意味している。

で、さらに\(L^3\)で割って単位体積あたりになおしてやる。 \[N(E)=\frac\left(\frac\right)^E^\tag\] を得る。状態密度\(D(E)\)は、\(N(E)=\int_0^E D(\epsilon)d\epsilon\)を満たすものだったから、(7)をエネルギーで微分してやれば良い。したがって、 \[D(E)=\frac=\frac\left(\frac\right)^\sqrt\tag\] が状態密度である。

3.周期的境界条件を使う方法

周期的境界条件

を課す、とは物質中の波動関数に対して、 \[\psi(x)=\psi(x+nL)\tag\] というような条件をつけることである。

そして、これは単なる計算テクニックに過ぎず、物理的な意味は特に無いということを強調しておく。僕は最初この周期的境界条件というものが、現実に起きていることなんじゃないかと考えてしまって、何年も悩む羽目になってしまった。周期的境界条件というのは、実際に現実で電子の波動関数が周期的になっているというよりも、無限に広い空間を考えるときの一つのテクニックだ。

\(x,y,z\)それぞれの方向に(9)のような周期的境界条件を課したとき、シュレディンガー方程式で許される状態は、 \begin \psi_(x,y,z) &= \exp\left(\frac(n_xx+n_yy+n_zz)\right)\tag\\ E_ &= \frac\left(\frac\right)^2(n_x^2+n_y^2+n_z^2)~~~(n_x,n_y,n_z =. -2,-1,0,1,2. )\tag \end となる。さっきとは違って、\(n\)が負の整数もとることに注意しよう。それだけ注意すれば、さっきと同じように考えればいい。

つまり、エネルギー\(E\)以下の状態の数は \[n_x^2+n_y^2+n_z^2\leq \frac\left(\frac\right)^2E\] を満たす格子点の個数であり、\(L\)が十分大きいときには球の体積で近似できる。今回は\(n\)がマイナスにもなりうることから、1/8の球ではなくて全球を考えればいい。よって、 \[N_v(E)=2\times\frac\left(\sqrt\right)^3=\frac\left(\frac\right)^E^\tag\] となる。単位体積あたりでは、 \[N(E)=\frac\left(\frac\right)^E^\tag\] であり、状態密度は \[D(E)=\frac=\frac\left(\frac\right)^\sqrt\tag\] と、箱の中の電子を使う方法と全く同じ結果が得られる。

4.色々な方法

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