カントール集合とその性質
カントール集合の意味,次元,測度,濃度について解説。
さらにそれぞれを三等分して真ん中を取り除くと, [ 0 , 1 9 ] ∪ [ 2 9 , 1 3 ] ∪ [ 2 3 , 7 9 ] ∪ [ 8 9 , 1 ] \left[0,\frac\right]\cup \left[\frac,\frac\right]\cup\left[\frac,\frac\right]\cup\left[\frac,1\right] [ 0 , 9 1 ] ∪ [ 9 2 , 3 1 ] ∪ [ 3 2 , 9 7 ] ∪ [ 9 8 , 1 ] となります。
区間 [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] 内の実数 x x x がカントール集合に属する ⟺ \iff ⟺ x x x の三進数展開に 1 1 1 が登場しない と表現することもできます。
実際,三進数展開の小数第 k k k 位に(はじめて) 1 1 1 があらわれるものは k k k 回目の操作で切り取られます。
自分自身を 1 3 \dfrac 3 1 倍に縮小したものを 2 2 2 つ持ってくれば自分自身を再構成できるので,フラクタル次元(ハウスドルフ次元)は log 2 log 3 ≒ 0.63 \dfrac\fallingdotseq 0.63 lo g 3 lo g 2 ≒ 0.63 です。線分は1次元なので,線分よりは中身スカスカという感じです。
カントール集合のルベーグ測度(大きさのようなもの)は 0 0 0 です。区間 [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] から一様ランダムに実数を 1 1 1 つ選んだとき,その実数がカントール集合に属している確率は 0 0 0 というイメージです。
毎回の操作で「線分の長さの和」は 2 3 \dfrac 3 2 倍されていくので,無限回繰り返すと「線分の長さの和」は 0 0 0 に収束する。
カントール集合の濃度は実数の濃度と同じです。ルベーグ測度は 0 0 0 であるにもかかわらず,実数全体との間に全単射が存在する(実数と同じくらい要素がたくさんある,カントール集合は非可算集合である)のです。
- 実数全体の集合と開区間 ( 0 , 1 ) (0,1) ( 0 , 1 ) の間には全単射が存在する。 y = tan x y=\tan x y = tan x を適切に縮小,平行移動すれば全単射を構成できる。
- 開区間 ( 0 , 1 ) (0,1) ( 0 , 1 ) と閉区間 [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] の間には全単射が存在する。 ベルンシュタインの定理から分かる。→ベルンシュタインの定理とその証明
- 閉区間 [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] とカントール集合の濃度は同じ
- カントール集合は閉区間 [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] の部分集合である(ので,恒等写像がカントール集合から [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] への単射になる)
- 一方, [ 0 , 1 ] [0,1] [ 0 , 1 ] からカントール集合への単射が存在する: x ∈ [ 0 , 1 ] x\in [0,1] x ∈ [ 0 , 1 ] に対して, x x x の二進数表示(のうち最後に1のみが続くものではないもの)の 1 1 1 を 2 2 2 にしたものを三進数表示に持つ実数 y y y を対応させる。例えば, x = 2 3 = 0.10101 ⋯ x=\dfrac=0.10101\cdots x = 3 2 = 0.10101 ⋯ (二進数表示)に対して, y = 0.20202 ⋯ y=0.20202\cdots y = 0.20202 ⋯ (三進数表示) = 2 3 + 2 3 3 + 2 3 5 + ⋯ = 3 4 =\dfrac+\dfrac+\dfrac+\cdots=\dfrac= 3 2 + 3 3 2 + 3 5 2 + ⋯ = 4 3 を対応させる。これは単射である。
東京大学大学院情報理工学系研究科修了/2014年にWebサイト『高校数学の美しい物語』を立ち上げ/著書累計 50,000部突破/「わかりやすいこと」と「ごまかさないこと」の両立を意識している。 →著者情報・書籍一覧を見る