紅白歌合戦・西郷輝彦の軌跡
西郷輝彦の紅白歌合戦出場シーンの全てをレビューしています。
前年に創立されたばかりのクラウンレコード(現・日本クラウン)専属第1弾として、この年「君だけを」でデビュー。早々に大ヒットして、当時の紅白ではまだ数少ない新人の初出場となりました。いわゆる御三家は 橋幸夫 ・ 舟木一夫 もデビュー年に紅白初出場を達成しますが、デビュー曲を歌っていないのは西郷さんだけです。また「君だけを」は残念ながら、紅白歌合戦で一度も歌われていない名曲の一つに数えられる結果となりました。なお同レーベルからはコロムビアから移籍した 北島三郎 が前年に初出場となりますが、同社から発売された楽曲が紅白歌合戦で披露されるのはこの年からでした。
第16回(1965年)「星娘」
作詞・作曲:浜口庫之助 前歌手:フランク永井、 坂本スミ子 後歌手: 中尾ミエ 、北島三郎 曲紹介:宮田 輝(白組司会)
ステージ以外では、翌年放送される大河ドラマ『源義経』の応援で 舟木一夫 、 山田太郎 、 三田明 とともに牛若丸に扮して登場するシーンがありました。衣を上げて「我こそは◯◯(名前)牛若丸なり」と自ら名乗り、いずれも若い女性から人気の大スターでしたが、観客の黄色い声が一番大きかったのは西郷さんでした。なお静御前に扮する 藤純子 (現・富司純子)が出演するこのシーンは、紅白歌合戦史上初の大河ドラマに絡めた応援となっています。
第17回(1966年)「星のフラメンコ」
作詞・作曲:浜口庫之助 前歌手:(オープニング) 後歌手: 中尾ミエ 、島 和彦 曲紹介:宮田 輝(白組司会)
この年は紅白歌合戦全体のトップバッターとして抜擢されました。 宮田輝 、 ペギー葉山 による司会者同士のやり取り後に曲紹介。内容は白組司会に際してひとしきり挨拶を終えた後 「さあ最初に、西郷輝彦さんです。どうぞ!」 、曲名の紹介も無く至ってシンプルです。
紅組司会を担当する ペギー葉山 も、直後の曲紹介でこの曲を引用。 「”♪好きなんだけど~”なんて言ってますけど、好きなら好きってはっきり言ってくださりゃいいんですよ、そうすりゃ”♪わかるんだけど~”とこう来ちゃうんですよね~。どうもこの頃の男性てのはハッキリしなくて困りますね」 とネチネチ反撃する内容でした。
ステージ以外では、 坂本九 「レッツ・キッス」のジェシカダンスに参加しているシーンが確認できます。また、 村田英雄 「祝い節」のステージでも阿波踊りのような振付で他の白組歌手4名と一緒に後ろで応援参加していました。
第18回(1967年)「願い星叶い星」
作詞・作曲:浜口庫之助 前歌手: 島倉千代子 、橋 幸夫、(中間発表) 後歌手: 江利チエミ 、坂本 九 曲紹介:宮田 輝(白組司会)
中間発表前後の曲順は、当時トリ・トップバッターに次いで重要な曲順でした。 橋幸夫 、 舟木一夫 、 島倉千代子 、 江利チエミ などがよく任されていましたが、この年後半トップバッターに初めて選ばれます。
第19回(1968年)「友達の恋人」
作詞:銀川晶子 作曲:R. Carlos 前歌手:ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、 ザ・ピーナッツ 後歌手: 三沢あけみ 、フランク永井 曲紹介:坂本 九(白組司会)
ザ・ピーナッツ が「ガラスの城」でダンサブルなステージを披露後、 坂本九 の 「いってみるかね?」 という言葉を合図に2人揃って華麗なステップ。軽快なテンポの曲紹介ですが、こちらのステージは特にダンサーも無しで熱唱。ただ間奏でリズムを取る場面は見られます。
第20回(1969年)「海はふりむかない」
作詞:田谷静恵 補作詞:水沢圭吾 作曲:中川博之 前歌手:千 昌夫、 小川知子 後歌手: カルメン・マキ 、アイ・ジョージ 曲紹介:坂本 九(白組司会)、 宮田 輝(総合司会)
直前に「初恋のひと」を歌った 小川知子 の髪型を 「おせち料理のくわいですよ」 とイジる宮田輝アナ。紅組司会の 伊東ゆかり とともに3人でのやり取り後、九ちゃんが西郷さんに話しかけようとしますが全く振り向かずにステージに逃げます。 「ねぇ西郷くんちょっと振り向いてよ、ねぇきみ、きみ振り向いてよ!でもこれでいいんです。もっとはっきり言いましょう、「海はふりむかない」。西郷輝彦さんの登場です」 、前年同様九ちゃんとのコンビネーションが光る曲紹介でした。
第21回(1970年)「真夏のあらし」
作詞:阿久 悠 作曲:川口 真 前歌手: 島倉千代子 、三波春夫、(中間発表) 後歌手: 藤 圭子 、内山田洋とクール・ファイブ 曲紹介:宮田 輝(白組司会)
ダークダックス と デューク・エイセス がコーラスで加わる超強力布陣、迫力が倍増しています。テンポも紅白歌合戦らしく?速くなっていて、原曲と比べると1.5倍かそれ以上というくらいの状況です。元々が2コーラスで3分ほどの演奏時間ですが、これをイントロ間奏を若干カットしながら2分25秒くらいに収めています。1970年代は原曲よりテンポの早い演奏のステージが頻出しますが、これがそのきっかけだったかもしれません。少なくとも前年まではここまで露骨に速くなるステージはありませんでした。全編映像は残っていませんが、この年はまるまるカットされた応援があるほど時間が押した紅白だと言われています。
なおこの年に「私生活」で 辺見マリ が初出場しますが、西郷さんは2年後に彼女と結婚します。ただ1981年に残念ながら離婚。2人のお子さんは長男がミュージシャン、長女がタレントとして主に1990年代以降活躍。また再婚した相手の娘もモデルとして芸能界入りしています。
第22回(1971年)「掠奪」
作詞:阿久 悠 作曲:都倉俊一 前歌手:坂本 九、 ちあきなおみ 後歌手: 岸 洋子 、(中間発表)、 加藤登紀子 曲紹介:宮田 輝(白組司会) 踊り:ワールドダンサーズ レビュー:第22回(1971年)NHK紅白歌合戦~その2~
ピアノ演奏のみをバックに歌い上げるオープニングですが、当時の歌謡曲でこういった構成の楽曲は稀でした。阿久悠・都倉俊一コンビは翌年の 山本リンダ 、さらにフィンガー5や ピンク・レディー で一時代を築き上げますが、最初に組んだのは井上順「昨日・今日・明日」とこの曲です。衣装は真っ白、そのため画面下部中央に入る歌手名テロップがこのステージだけ左端配置でした。
ダンディーかつ声量たっぷりの歌声を披露した後は、ダンサブルなステージになります。激しい曲調ということで、女性ダンサーもバックに加わります。1分35秒近く経ったところで一旦演奏終了、観客からパラパラ拍手。ただこれは休符演出で、 「ワン、ツー、スリー、フォー」 の掛け声で再び演奏が始まる合図です。それに指揮者かディレクターが惑わされたのでしょうか、思わず紅組側のオーケストラが 岸洋子 「希望」の演奏を始めてしまうハプニングが発生。白組側の音に気づいてすぐに音は鳴り止みますが、非常に珍しい場面でした。
第23回(1972年)「愛したいなら今」
作詞:阿久 悠 作曲:都倉俊一 前歌手:ビリー・バンバン、 本田路津子 後歌手: 森山良子 、菅原洋一 曲紹介:宮田 輝(白組司会) 踊り:ワールドダンサーズ
この年もダンサーが入る演出でした。 「激しいフォーリーブスの踊りがございます」 とテレビ実況で入りますが、どう見ても4人ではなく5人参加している様子。真ん中にいるのは女性、この年なぜか白組から出場となった 青い三角定規 の西口久美子が参加している様子です。ちなみに西口さんは結成前にティーンズというダンスグループに参加していた経験があります。5人は1番を踊っただけで退場、間奏以降はワールドダンサーズの男女ダンサーがステージを盛り上げます。
第24回(1973年)「星のフラメンコ」
作詞・作曲:浜口庫之助 前歌手:布施 明、 いしだあゆみ 後歌手: 森 昌子 、野口五郎 曲紹介:宮田 輝(白組司会) 踊り:鹿島とも子、日劇ダンシング・チーム
フィジー(宮田アナはフィージーと読み上げてます)からの電報を読み上げる間に演奏開始。横にいる にしきのあきら がトランペットを演奏しますが、明らかに音が出ていません。 鶴岡雅義 もフラメンコギターで参加、こちらも演奏は間違いなくしていますが音が入っているのかどうか…。ちなみに集音マイクは用意されていました。
西郷さんは7年前より華麗な姿で、多少スペインに寄せた黒い帽子を被っています。間奏では鹿島とも子と日劇ダンシング・チームが参加、鹿島さんとペアになってカルメン風のダンスを披露する場面もありました。ステージの奥行きが東京宝塚劇場と比べて広くなり、舞台がアップデートされています。ラストのロングトーンもアカペラ編曲で、ジャンプした後に決めポーズもバッチリ。 「カッコいいですね」 と、次に紅組側で曲紹介する 水前寺清子 も思わず呟く素晴らしい内容でした。
それ以降の活躍
紅白歌合戦にはその後第38回(1987年)にゲスト出演します。渡辺謙、三浦友和と一緒にこの年放送された大河ドラマ『独眼竜政宗』の片倉小十郎役として出演、白組司会で直後に「海、その愛」を歌う 加山雄三 にエールを贈る形の登場でした。『独眼竜政宗』は今なお語り継がれる名作中で名作で、平均視聴率39.7%は大河ドラマ歴代1位の記録となっています。私も2度この作品を見ましたが、片倉小十郎役は実直な役柄がまさに西郷さんに合っているはまり役でした。
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