『東海道中膝栗毛』面白いエピソード集
『東海道中膝栗毛』面白いエピソード集

『東海道中膝栗毛』面白いエピソード集

江戸時代後期に刊行され現在に至るまで日本人に広く長く親しまれてきた『東海道中膝栗毛』。そこにはどのような面白いエピソードが描かれているのでしょうか?最初に作品を楽しむための基本情報を押さえた上で、シリーズ全編の中から選りすぐりの面白いエピソードを紹介していきます。

川崎宿~神奈川宿(初編より)【1場面】川崎宿の茶屋「万年屋」で奈良茶飯を注文し、弥次さんと喜多さんは店員の女の尻を見て好き勝手に言い合います。【1場面】大名行列に遭遇し、2人は道端で土下座をしながら行列に茶々を入れていきます。【1場面】2人は川崎宿の外れで馬に乗って、馬方同士の会話を聞きながら神奈川宿に向かいます。【1場面】海を望む台町(神奈川宿)の茶屋に入り、2人は店の美人娘に目を見張るも、一癖ある料理が運ばれてきます。

【注意:ここからネタばれ有り】

シリーズ全編の面白いエピソード3選

主人公

弥次郎兵衛(やじろべえ)通称 弥次さん。旅の出発時点で、数え年の50歳(満49歳)。 妻を亡くした独り者で、能楽もの(なまけ遊んで暮らしている人)。旅先では次々と騒動を起こして失敗が尽きないが、口達者で洒落っ気があり、会話の中にたびたび教養をのぞかせる。 喜多八(きたはち) 通称 喜多さん。旅の出発時点で、数え年の30歳(満29歳)。 弥次さんの居候で、一緒に旅に出ることに。弥次さんの強烈なキャラクターと比較するとやや控えめだが、こちらも負けず劣らず失敗の尽きない人物で、似た者同士である。喧嘩っ早く口は悪いが、男前。 【episode1】弥次さんと喜多さんは旅先の女と”一夜限りの関係”を持つことができるのか?(初編より)

あいつ 今宵 こよい ぶってしめよう(=強引に情交しよう)

太 ふて えことをぬかせ。俺がしめるハ(=俺が犯すわ)

episode1 【初編⑤】旅の二日目 宿泊編<小田原宿での長い夜> streetnet.jp

補足1つ目のエピソードを紹介したところで「こんな話なの?」と疑問を抱く方に向けて補足をしておきます。

弥次さん喜多さんは同性愛の関係性であるといった話(ゲイカップルという表現が多い)がわりと広く知られています。これは初編の刊行から12年後、最終巻である八編の刊行から5年後に刊行された『東海道中膝栗毛 発端』で初めて明かされた設定(喜多さんは元々 陰間 かげま (男娼)である等の内容)にもとづいています。

【episode2】巫女の口寄せで亡き妻と再会。その後の夜這いで巫女との口づけは叶うのか?(三編より)

わしゃァ そなたの枕添いじゃ。あつかましくも 能 よく ぞ問うて下った。そなたのような 意気地 いくじ なしに 連添 つれそっ て、わしゃ一生食うや食わず、寒くなっても 袷 あわせ 一枚着せてくれた事はなし、 寒 かん の冬も 単物 ひとえもの ひとつ。アァうらほしや うらほしや

堪忍してくれ。俺もその時分はめんく(=工面)が悪くて、かわいそうに苦労をし 死 じ ににしやったが(=苦労の末に死なせてしまったが)残り多い(=心残りが多い)

それでも「あなたのことを片時も忘れたことはない、わしが迎えに行くから早く 冥途 めいど へ来てほしい」と亡き妻が誘うのを、弥次さんは即答で断ります。すると亡き妻(を代弁する巫女)は「それなら、この巫女どのへ銭をたんとやらしゃりませ」と弥次さんから巫女に銭を弾む約束をとりつけて、霊はあの世へと帰っていきました。

そして深夜――。夜這いを決めた喜多さんは、暗闇の中、巫女の親子が就寝している奥座敷に忍び込み、巫女のふところに入り込みました。意外にも巫女のほうから喜多さんの手を取って引きずり寄せ、”仮の 契 ちぎ り(男女の交わり)をこめし後”は、お互いに鼻を突き合わせて寝入ります。

はらさんざん(=さんざっぱら) 慰 なぐさ んで、ただ逃るとはあつかましい。夜の 明 あけ るまで、わしがふところで寝やしゃませ(=心づけの代わりに今夜はわしのふところで寝なさい)

【episode3】旅のラストに弥次さんは”男妾”として生きる道を選ぶのか?(八編より)

そして最終巻における旅のラストは住吉(現大阪市住吉区)の場面です。住吉大社に参拝したあと、2人は大阪での滞在拠点である 日本橋 にっぽんばし 筋の宿屋「分銅河内屋」の亭主河内屋四郎兵衛と住吉新家の料理屋「三文字屋」で落ち合います。

奥座敷で河内屋の亭主から酒と料理をごちそうになりながら、弥次さんは「自分にはこれといった職がなく、銭のない旅はつらい」と初めて弱音をもらします。それを聞いた河内屋の亭主は「 男妾 おとこめかけ (女に養われること)の口があるが、どうじゃいな」と話を持ち掛けます。

鼻をひこつかせて喜び「わっちをぜひに」と頼む弥次さんに、亭主はその女性について「三十四歳か三十五歳くらいのえらい美人で、船場あたりの大店の 後家 ごけ (未亡人)である」こと、「どうも役者を買って金を使ってしまうため、厄介のない男妾を抱えたいらしい」ことを伝えます。

わっちは 是 これ でも、 唄 うた も歌いやす、 三味 しゃみ (=三味線)もかぢりやす(=少しだけ弾ける)から、女中がたをころころと、おもしろがらせることが得てもの(=得意)でござりやす

その頃、向こう座敷にあら 吉 きち こと大阪一のスター歌舞伎役者の 嵐吉三郎 あらしきちさぶろう (実在の人物)が現れます。あら吉に惚れ込んでいる後家は態度を急変させて、物語はラストに突入します。果たしてその結末は…!?

まとめ

現代語訳

【現代語訳・解説】十返舎一九『東海道中膝栗毛』リンク一覧 無料であらすじを読むならこちらへ。『東海道中膝栗毛』の現代語訳と解説一覧ページです。弥次さん喜多さんの滑稽で自由きままな珍道中をお楽しみください。 streetnet.jp

本の総合解説

『東海道中膝栗毛』とは? 旅のルートから作者十返舎一九まで本の要点総まとめ 『東海道中膝栗毛』とはどんな本なのか?主人公弥次さん喜多さんの人物設定とは?大衆の心を掴んだ作者の十返舎一九とは?それらの問いひとつひとつを紐解きながら、本の要点を分かりやすく解説します。 streetnet.jp

【必見!】好評につき「『東海道中膝栗毛』続・面白いエピソード集」を公開しました。(2025年追記)

続・面白いエピソード集 streetnet.jp

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