奥の細道 朗読
奥の細道 朗読

奥の細道 朗読

松尾芭蕉『奥の細道』より「千住」です。「奥の細道」の旅はここからはじまります。深川の庵を出た芭蕉は千住で人々に見送られます。

■「明ぼのゝ空朧々として、月は有明にて光おさまれる物から」 『源氏物語』「月は有明にて光をさまれるものから、かげさやかに見えて、なかなかをかしきあけぼのなり」をふまえた表現。 ■谷中 上野の西北の大地。墓地がある。 ■舟に乗て 深川から舟に乗り、隅田川をさかのぼって千住へ行ったもの。 ■千住 日光街道最初の宿駅。 ■前途三千里の思ひ 行く先はるかな旅路への感慨。 ■幻のちまた 幻のようにはかない現世(そうはいっても別れるとなると、やはりつらい)。 ■矢立の初 旅で詠む最初の句。「矢立」は携帯用の筆入れ。

解説

夜のうちから親しい門人たちが集まり、出発を宿してくれます。 六畳一間の芭蕉庵には人が入りきらず、庭にまでガタゴトと 台を持ち出して、夜通しワイワイやりました。

河合曽良(1649-1710)。

河合曽良はこの年41歳。 信濃上諏訪(長野県諏訪市)の高野七兵衛の 長男として生まれますが、 両親の死にともない叔母の家の養子となります。

後、その養父母も亡くなり 伊勢の長島の親戚の家に引き取られ、岩波家を継ぎ 岩波庄右衛門正字(まさたか)と名乗ります。

しかし天和元年(1681年)ころ浪人して江戸に下り、 幕府神道方吉川惟足(これたり)について神道・和歌を学び、 後に芭蕉に入門しました。

2年前の『鹿島詣』の旅にも同行しています。 今回『おくのほそ道』の旅に出るにあたって、芭蕉は当初 門人の路通を随行者にと考えていました。

しかし芭蕉は曾良の事務処理能力の高さ、 地理や神道に通じていることを見て、 直前で曾良を同行者に変更したのでした。

曾良が旅の随行中、たんねんに書き記した 『曾良旅日記』は『おくのほそ道』に書かれたことの 何が事実で何が創作なのかを見る上で貴重な資料となっています。

出発

「ああいよいよ始まるんですねえ旅が」 「先生、ちゃんと食べないとダメですよ」 「わかってるよ」

これから三千里もの旅が始まると思うと胸に熱いものがこみあげる。 この世は仮の宿にすぎない。幻のようにはかないものだ。 普段はそういう思いだったが、長年親しんできた門人たちと 別れるのは、やはり涙があふれてくる。

隅田川の水面を、すーーっと水鳥が飛んいってる。 その水鳥が、見ると、目から ぶわっと涙を流している。

この事実を出発点として、イメージをふくらませているわけです。 この別れを惜しんで、 鳥も魚も目に涙を浮かべていると。自由に、イメージをふくらませているわけです。

千住宿

千住は、日本橋から北へ8キロに位置する日光街道最初の宿で 板橋宿、内藤新宿、品川宿と並び、 江戸四宿の一つとして栄えました。

現在は隅田川を境として南の荒川区、 北の足立区にまたがります。 古くは千寿、千手、専住とも書きました。

その名の由来は、足立区千住二丁目の勝専(しょうせん)寺にある 千手観音だとも、足利義政の愛妾「千寿の前」が 生まれた場所だからとも言われます。

享保年間(1716-36)以降、宿内のやっちゃ場(青果市場)では 毎朝、競り市が開かれ、魚介類や五穀が取引され、 日本橋魚河岸と並ぶ賑わいでした。

隅田川南の南千住駅周辺には、 吉田松陰・橋本佐内の墓のある回向院、 ターヘル・アナトミア(解体新書)を手に入れた 杉田玄白・前野良沢らが 解剖図の正確さを確かめるために 腑分けにたちあったことで知られる小塚原刑場跡、 もと上野の寛永寺の正門であった黒門や 彰義隊戦死者の墓のある円通寺など見所が多いです。

朗読・訳・解説:左大臣光永

百人一首 全首・全歌人 徹底解説 百人一首のすべての歌を、歌の解説はもちろん、歌人の人物・歌人同士の人間関係・歴史的背景など、さまざまな角度から解説しました。単に「覚える」ということを越えて、深く立体的な知識が身に付きます。

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