仙台「源氏」私、人生で最高の酒場に出会いました
仙台「源氏」私、人生で最高の酒場に出会いました 酒場の歴史が長くなればなるほど、そこでの出来事は価値を生み、そしてますます面白くなる。神田『みますや』が戦火の時に、地元の酒飲み達が「 飲 や
酒場の歴史が長くなればなるほど、そこでの出来事は価値を生み、そしてますます面白くなる。神田『みますや』が戦火の時に、地元の酒飲み達が「 飲 や れる場所がなくなる!」といって、バケツリレーをして焼失を免れたことや、鶯谷『鍵屋』の建物が、有形文化財として『江戸東京たてもの園』に移築されているなんて、浪漫を感じずにはいられない。超絶ストイックに酒肴を追及している店主や、チャランポランだけど客に愛されるマスター。そんな〝酒場の内側〟の話だって、面白くて仕方がないじゃないか。
日本三大横丁ともいわれる『文化横丁』、通称〝 文横 ぶんよこ 〟にはたくさんの老舗店が立ち並ぶ。私はその酒場に来るのが本当に楽しみで、はしごなどせず、完全な 素面 しらふ で挑んできた。名だたる酒場人が愛した酒場だ、なんならスーツにネクタイで来てもよかったくらいだ。
いくら 入りにくい酒場 ・・・・・・・ に慣れているとはいえ、これは入りづらいぞ。縄暖簾の先は、まったく中が見えないようになっている。怖ぇな、いったん出直してみるか……いやいや、ここで負けたら諸先輩方に笑われる。よし、中へ入ってみよう。
ツイッ……ツイッ……ツイー……うれしいなぁ。いや、ただ飲んでいるだけだが、ここで酒が飲めたのがうれしくてたまらない。そして 一杯目 ・・・ というのは、実は酒を頼むごとに料理が付いてくる仕組みで、この店で飲めるのは酒四杯までという〝四杯ルール〟があるのだ。この一杯目にも、まずは〝お通し〟として付いてきた。
おっ、白色かぶり! 二杯目の相方は木綿の『冷奴』だ。ふむ、割とあっさりしたものが続くなと思いきや、この奴たるや、度肝を抜いた。箸を 挿 い れると、ドッシリとした豆腐の感触。そのまま持ち上げてみると、ズシリと指に重い。
このまま頼み続けると〝 飲 や り終わる〟のだ、そう、あと二杯でだ。
四杯ルール……このまま四杯目を飲んだら、夢にまで見たこの酒場を〝経験〟してしまうことになる。いや……いや、それは勿体ない! 若かりしの 初体験 ・・・ を終えた後だって、こんな風には思わなかった。私の人生に、この酒場を何度も〝経験〟させてやりたい、そう思ったのだ。
うーむ、こんなのを舐めたら清酒が欲しくなるな……やはり、もう一杯いくか? いや、ここはストイックに 飲 や れ! 残り少ないにごり酒……砂漠の水の如き、大事に飲んでいこう。
まさに職人技といえる銀皮造りが、キラキラと目を楽しませてくれる。箸で持っても、まったくヨレない カド ・・ 。口の中に入れると、その鋭利だったカドがトロリと舌に溶け、あとはカツオの新鮮な香りが脳に直撃する……うんめぇなぁ、惚れ惚れするウマさだ。絶対に、今まで食べてきたカツオ刺で一番ウマいはず。
完成された空間に四杯ルール。 超 ・ が付く老舗酒場には、何となく押しつけがましく感じるところもあるが、ここではそれも違和感がない。若輩者には気軽とはいえないが、でもこうやって好きに 飲 や らせてくれる余裕もある。
源氏 (げんじ) 住所:宮城県仙台市青葉区一番町2-4-8TEL:022-222-8485営業時間:17:00~23:00定休日: 日曜・祝日、月曜 ※文章や写真は著者が取材をした当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。 連載小説「アサガオの朝酒」(全10話)毎週月曜日20時公開↓↓ Click!! ↓↓ Facebookでシェア (旧Twitter)でシェア 著者プロフィールランキング
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