「生きた岩」と呼ばれる微生物の塊が、森林を上回る効率で二酸化炭素を吸収していた
「生きた岩」と呼ばれる微生物の塊が、森林を上回る効率で二酸化炭素を吸収していた

「生きた岩」と呼ばれる微生物の塊が、森林を上回る効率で二酸化炭素を吸収していた

南アフリカの海岸には「生きた岩」と呼ばれる奇妙な物体が転がっている。ゴツゴツとした見た目はどこにでもある無機質な石にしか見えないが…

南アフリカの海岸には「生きた岩」と呼ばれる奇妙な物体が転がっている。ゴツゴツとした見た目はどこにでもある無機質な石にしか見えないが、その正体は無数の微生物が長い年月をかけて作り上げた巨大な集合体だ。 最新の研究によって、微生物の岩「マイクロバイアライト」が、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を驚異的なスピードで吸収していることが明らかになった。 その吸収効率は、一般的な森林のおよそ46倍以上にも達するという。

記事をシェア みんなのポスト コピー コメント コメントを書く コメントを見る この研究成果は『Nature Communications』誌(2025年12月8日付)に掲載された。

過酷な環境で繁栄する地球最古の生命

南アフリカの沿岸部には、食虫植物やホホジロザメを狩るシャチなど、ユニークな動植物が数多く生息している。 その中に混じって存在するのが、マイクロバイアライト(Microbialites)と呼ばれる微生物で構成される「生きた岩」だ。 これらはサンゴ礁と同じように、目に見えないほど小さな微生物が水中のミネラルを吸収し、石のような硬い構造物を積み上げていくことで形成される。 地球上で最も古い生命の痕跡としても知られており、微生物マットと呼ばれる細菌や古細菌などが層状となったコロニーの中で発見される。 アメリカ・ビゲロー海洋科学研究所の海洋生物地球化学者、レイチェル・シプラー博士らの研究チームは、生きた岩が、南アフリカの沿岸で驚くほど活発に成長している事実を突き止めた。 今回の研究では、マイクロバイアライトが環境中の炭素を取り込み、それを炭酸カルシウムという新しい層へと変換するプロセスを詳しく調査している。 通常、植物は夜になると光合成ができず二酸化炭素の吸収を止めてしまう。しかし、この微生物たちは違った。 彼らは日光が届かない深海の熱水噴出孔に生息する生物と同じように、光合成に頼らない特殊な代謝プロセスを持っている。 そのため、太陽の沈んだ夜間であっても昼間と同じペースで炭素を取り込み、それをせっせと「岩(炭酸カルシウム)」に変えて固定し続けていたのだ。 この画像を大きなサイズで見る 生きた岩と呼ばれる微生物の塊、マイクロバイアライトの断面 Image credit:Thomas Bornman

驚異的な成長スピードの秘密

シプラー博士は、教科書では絶滅寸前と記載されている古代の構造体が、生物が生き残れるとは思えない過酷な場所で勢力を広げている事実に驚きを隠さない。 研究チームは、成長の遅い古代の化石を見つけるつもりで調査に臨んだが、実際には厳しい環境下で急速に成長する強固なマイクロバイアライトを発見した。 シプラー氏らのチームは、南アフリカ南東部でカルシウムを豊富に含む硬水が染み出す砂丘エリアを数年にわたって調査した。 その結果、これらのシステムは垂直方向に毎年約5cmという速さで成長している実態を解明した。 昼夜を問わず24時間体制で炭素を吸収し、それを石灰岩のような安定した状態にして積み上げていく。この休みない働きこそが、驚異的な成長スピードの秘密だった。 この画像を大きなサイズで見る 東アナトリアのヴァン湖に出現したマイクロバイアライト Image credit:Erturac / commons.wikimedia CC BY-SA 4.0

一般的な森林の46倍の二酸化炭素吸収効率

この微生物による「生きた岩」が炭素を吸収する効率は、自然界でもトップクラスを誇る。研究チームの試算によると、彼らは1平方mあたり年間で最大16kgもの二酸化炭素を吸収しているという。 面積あたりの吸収効率で比較すると、一般的な森林の約46倍という凄まじい能力だ。 わかりやすく言えば、テニスコート1面分(約260平方m)しかないマイクロバイアライトの群生が、およそ1.2ヘクタール(野球場のグラウンドよりも広い面積)の森林と同じ量の二酸化炭素を吸収してしまうことになる。 また、沿岸の湿地も生態系全体としては同じような速度で炭素を吸収することが知られている。しかし、湿地に生息する微生物は、取り込んだエネルギーを植物の死骸のような「有機物」に変えてしまう。 有機物は分解されやすく、炭素が再び放出されやすいという弱点がある。 対してマイクロバイアライトは、炭素を極めて安定した「鉱物(岩)」の形で固定するため、長期的な貯蔵庫として非常に信頼できるのだ。 この画像を大きなサイズで見る サルダ湖のマイクロバイアライト Image credit:NASA / JPL – Caltech / commons.wikimedia

未来の地球を救う可能性を秘めた古代からの贈り物

今回の発見についてシプラー博士は、予想通りのものだけを探そうとすれば、こうしたユニークな特性を見逃してしまっただろうと語っている。 乾燥と浸水を繰り返す過酷な環境に耐え、驚異的な回復力を見せるマイクロバイアライトの研究は、これからの気候変動対策に新たな視点を与えるはずだ。 科学者たちの好奇心によって解き明かされたこの研究成果は、自然界にはまだ私たちが知らない、計り知れない力が眠っていることを改めて教えてくれている。 References: Bigelow / Nature / Popsci

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この記事への コメント 21件

いつか見にいきたいわ(激ウマギャグ)
  1. 名前: 匿名処理班 ID: NTc4 • 投稿日: 2025年12月27日
お!生きた岩と行きたいわをかけてるんだね!くぅ〜二酸化炭素をモリモリ吸ってくれるマイクロバイアライトくらいニクいじゃないか! これを承認した管理人にも責任の一端はあるだろ 単位面積あたりのCO2吸収量が多いと言っても 生育できる環境がかなり限られそうだなあ CO2削減に寄与させるには工夫が要りそう こいつらを二酸化炭素堪能ツアーに招待すりゃ環境問題の一つ解決するだろ ちょっとまとまった規模の養殖場とか整備できれば希望の星になってくれるかも 太陽光がいらないなら屋根は太陽光発電パネルにしちゃえばすごくエコな施設にできそうじゃない? 今後に期待だ 地球の二酸化炭素吸収の7割は微生物 そして二酸化炭素排出の7割も微生物 なお人類は3% こいつと先日記事になってたアマガエルだけで生物の多様性を守ることの重要さを伝えられそうやな すげえや 固定にカルシウムが必要だから無限には無理でしょ カルシウムを欲しがるほかの貝・サンゴ・植物と競合もするし
  1. 名前: 匿名処理班 ID: ZTJh • 投稿日: 2025年12月27日
大昔から今まで、それらの生き物がカルシウムを使い続けてきたわけなんですよ それでも足りなくなる兆候なんてないですよね 二酸化炭素だって無限には存在しません それに、岩にならないだけで微生物としてはどこにでも存在しているものに いちゃもんをつけているだけですよ ようは、自然を破壊し続けてきたやつらの言い草ってことです 微生物ゆえに藻に負けるらしい 多様性が無い地球誕生初期だったり、生物が生き残れるとは思えない過酷な場所で勢力を広げているのはまぁそういうこと 太古の地球に酸素を供給したのも シアノバクテリアが形成するストラマトライト という球状の岩だそうね。 ワイら人間は色んな生物に生かされている。 不思議な偶然と運の賜物、有難や。 ようはストロマトライトの同類だろ 自然科学的な見解よりも うっかり踏んずけたらズムヌルッて沈むのかなって考えてゾワッとなった 肉骨粉撒いて餌にすればいいんじゃなかろうか 育成環境がシビアな事自体は外来種問題に優しいって事だし乾燥させるか海にポチャンすれば廃棄できて楽かもよ ストロマトライトも含まれるよね ただ、岩になれるのは限られた場所だけみたい 天狗の麦飯っていう土みたいな微生物の塊を思い出したけど、それとはだいぶ違う物っぽいかな? 似たような事をしているものにストロマトライトがあるな。 つまり、人類が滅亡した後にはこの岩が意志を持って食物連鎖の頂点に立つのか。石だけに、意思を持つ(激ウマギャグ) コメントを書く

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