瓜田純士が大ヒット映画『爆弾』を観て怒り爆発!「これ作った奴らを爆破させてやろうか」
“アウトローのカリスマ”瓜田純士が、大ヒット公開中の映画『爆弾』をぶった斬る!佐藤二朗や山田裕貴の熱演、先の読めない心理戦で絶賛を浴びる本作だが、劇場を後にした瓜田の表情は険しかった。「これ作った奴らを爆破させてやろうか」とまで言い放った、その真意とは?期待に胸を膨らませていた妻・麗子と共に、忖度一切なしの“爆弾発言”が投下される。世間の評価とは真逆の、瓜田流・映画批評の幕が開く。
麗子 私も原作は読んでないけど、少なくとも映画のストーリーは、幼稚臭くて全然アカンかった。でも佐藤二朗さんに関しては見直したけどな。これまでは正直、あの人がちょっと苦手やったんですよ。わざとボケをかましてるような演技があまり好きじゃなくて。でも今回は良かった。「あんな演技もできるねんや」と思って、めっちゃ深みを感じたわ。やのに、あの相手の眼鏡刑事……「BreakingDown」のよしきまるみたいな顔したモジャモジャ頭、あれ誰?
純士 山田裕貴くんね。『東京リベンジャーズ』でドラケンを演じてたじゃん。
麗子 ああ、あの子か。その山田くん演じる類家刑事と、佐藤さん演じるスズキが高度な心理戦を……ってことなんやろうけど、下手したら孫とおじいちゃんぐらいの年齢差があるじゃないですか。だから、貫目が全然釣り合ってなくて、ちっとも渡り合えてない。一つになれてない印象を受けましたね。あんな軽い感じの若い子が、切れ者の心理捜査官みたいな役職についてるのも不自然。無理がありすぎるわ。
純士 それを言うなら、あんな高度な心理戦をできるスズキが、ホームレスなんかしてねえよ、ってのもあるよね。あれだけ頭がキレるなら、もっと悠々自適な暮らしをしてるだろって。
純士 実際の警察でそんなことあるわけねえだろ! ってことが多すぎる。まず、類家の勘だけがやたらと鋭く、その読みがズバズバ当たり、彼の一挙手一投足に全刑事が注目して、いちいち右往左往するのが変。警視庁ほどの大組織が、たった一人の若手刑事の意見に振り回されるはずがねえだろ。
麗子 ホンマや。たいした人生経験も積んでない青臭い刑事が、なんであんなに影響力持っとんねん。
純士 制服警官の男女コンビが令状も持たずにいろんなところにズカズカ入り込んだり、勝手に爆発物処理をしたりしてるのもウソ臭くて見てられなかったな。
麗子 私はあのコンビのこと、好感を持って見とったけど、所詮はアヒル(制服警官)やもんなぁ。
純士 相棒(坂東龍汰)が大ピンチになったときに、女性警官(伊藤沙莉)が気丈に振る舞ってたけど、あそこは泣いて声が震えて、尻餅ついて小便漏らすぐらいのことをさせないと、異常事態の緊迫感が伝わってこないでしょう。おまけに彼女、一介の交番巡査に過ぎないのに、取調室にまで無断でズカズカと上がり込んでくる。んなわけあるか! スズキの演技にばかり力を入れてないで、そういう細かいところもリアルに描いてほしかった。
純士 加藤雅也さん演じる長谷部刑事は、きっと無骨で正義感も強かったから、染谷将太くん演じる等々力刑事から慕われていたんでしょう。そんな長谷部が事件現場で変態的なことをしてしまい、週刊誌に報じられるという展開だったけど、そのネタをリークしたのは長谷部の性癖の悩み相談に乗っていたカウンセラーだった、という設定がお粗末すぎる。そんな職業倫理のないカウンセラー、いるわけないでしょ。それに、長谷部を変態キャラに落としてしまうよりも、もっと硬派な設定、例えば「上司の不正を告発しようとして左遷されてしまった刑事」みたいにしたほうが話の筋も通ったのに、って思いました。
麗子 家族は似たもん同士やねん。
純士 だとしても、「まともな家族の中におかしい奴が一人だけいた」っていうふうにしなきゃダメですよ、倫理として。じゃないと、こっちは納得も共感もできない。「変態性癖のある刑事が」みたいなフレーズを使いたかったのもしれないけど、その設定にしたせいで、ストーリーが破綻してしまった。こんな作品のためにあんな変態役をやらされた加藤雅也さんが可哀想ですよ。
純士 あぁ、なんかいましたね。あの役は別に誰でもいい。「俺に任せろ」と言わんばかりに颯爽と出てきて、最後はダメダメでメンタル崩壊する役なんて、本来もっと目立ちそうなもんなのに印象が薄かったですね。
麗子 登場人物が多すぎるからやない? あんだけ人がようけおったら、誰が主役なんかもようわからんかったし。類家が主役なんやとしたら、正直、物足らへんかったわ。
純士 YouTubeで配信された犯行予告動画に対する一般市民の反応が、昭和とか平成初期っぽいと感じました。90年代の渋谷で若者がポケベルに群がる感じ。今の時代、街じゅうのみんなが足を止めて一つの動画に群がって騒ぐことなんてないから。今作のモブ描写は「あ、ウルトラマンだ!」と言って空を見上げる奴らみたいになっちゃってた。現代の話なのに、すごく古臭く感じました。
純士 オープニング付近でスズキの髪の毛を誰かが切ってて、そこにクレジットが出てくるのは格好いいと思いました。その伏線も回収されたし。
麗子 カメラワークと映像と、編集と音響は良かったですね。というか、グロさと音響でだいぶハッタリ利かせてる感もあったけどな(笑)。私、HSP(感受性が高く、環境刺激に敏感に反応する人)っぽいとこがあって、ちょっとした物音でもすぐに飛び上がっちゃうんですよ。この映画は爆発音がすごかったから、「うわ、うわ、うわ」って、何度も激しく飛び上がったわ。
麗子 ないなぁ。謎解きも、さっぱりわからんかった(笑)。まったくわからない引っ掛け問題を延々と、7割ぐらいの尺を取ってやられたやん。あれ、ついていかれへんくて退屈やったわぁ。
純士 その答え合わせを類家がずっとやってたじゃん。でもそれも、「お前は原作を読んでるから答えを知ってるだけだろ」って感じで、「なるほど、そうきたか」という面白みはまるでなかったですね。「予測不能なストーリー展開」という触れ込みだったけど、不条理な行動をするキャラが多いので、そりゃなんでもありだろうし、どうなっても別に驚かない、って感じですね。
純士 原作を読んでないので断言はできないけど、おそらくこの作品は、映画『羊たちの沈黙』みたいな路線を狙ったんじゃないですかね。アンソニー・ホプキンス演じるシリアルキラーで精神科医のレクター博士と、ジョディ・フォスター演じるFBI訓練生のクラリスが心理戦を繰り広げる物語だけど、あれ、最高にヒリヒリして面白かったじゃないですか。
純士 レクター博士がクラリスとの会話の中で、世間を騒がせてるバッファロー・ビルという殺人鬼の正体に関するヒントを散りばめていくというのが、今回の『爆弾』のスズキと類家の関係に似てますよね。あと、クラリスがバッファロー・ビルのアジトに単独で踏み込んでいくシーンも、『爆弾』の若手警官コンビが上司に無断で犯人のアジトに突入するシーンに似てる。でも、緊張感が雲泥の差なのは、なぜなのか。
麗子 今日の純士は熱いなぁ。もしかして本気で怒ってる?
純士 めちゃくちゃ怒ってるよ。作り手を爆破させてやろうか! ってぐらいに。
麗子 オモロいけど、そんなこと言うたらアカン(笑)。
純士 日本を代表する役者たちが大勢出てて、みなさん素晴らしい演技力の持ち主なんだから、キャスティング次第ではものすごく面白くなったのかも、という思いはありますね。
純士 佐藤二朗さんみたいな「この人のことだから相当な怪演をしてくれるだろう」という期待値が高い役者は、ドハマリな役で使っちゃいけないのかも。『地面師たち』の北村一輝さんを見たときにも、同じようなことを俺は感じたんですよ。期待値が高いと、役者もその期待に応えようとして過剰演技になってしまったりして、むしろケチがつくことが多い。
麗子 私は佐藤さんに対する期待値が低かったから、今回めっちゃ良いと思ったけどな。
純士 うちの嫁はおそらく少数派で、世間の多くの人たちは、佐藤さんが怪演をする役者だということを知ってるし、期待値も高いんですよ。言い方を変えると、すでにある種の色がついてしまってる。だからこそ今回は、観客の期待を外すキャスティングにしたほうが良かったのかも。例えば、佐藤さんを刑事役にして、色のついてない役者を犯人役にする、とかね。そうすれば観客も、「へえ、こんな抑えめなトーンの天才刑事役もできるんだ」という新鮮な驚きを得られただろうし、色のついてない役者も脚光を浴びて、さらなる話題作になったんじゃないか、と。まあ、今さら言っても時すでに遅しですが。
純士 あのエンディングの曲にイラついて、一刻も早く逃げ出したくなったんです。
麗子 映画のテイストと曲が合わなすぎる。邪魔やったし、腹立ったな。
純士 曲そのものが悪いと言ってるんじゃなく、あの曲をなんでここに持ってくるの? というセンスに腹が立ちました。静と動で言うと、オープニングでは結構臨場感のある音楽を流してきて、ざわつかせる感じだったから、終わりは「静」にしなきゃダメだと思う。「ここであえてこういう曲を選ぶ俺って、イケてんじゃね?」という作り手の独りよがりな世界観に、観客がついていくと思ったら大間違い。まったくイケてねえよ。
麗子 佐藤さんと、女性警官と、その相棒に1点ずつあげて、3点。音響とカメラマンも入れて、5点かな。
純士 点数をつけたくもないなぁ……。
麗子 あ、編集にも1点入れてあげな。私は6点で!
純士 やり方次第では100点にもなりそうな映画だったのに、細部を疎かにしやがったから、10点ですね。
映画『爆弾』 瓜田夫婦の採点(100点満点) 純士 10点 麗子 6点