北村優衣インタビュー「相手の良いところを引き出せる俳優になりたい」
北村優衣インタビュー「相手の良いところを引き出せる俳優になりたい」

北村優衣インタビュー「相手の良いところを引き出せる俳優になりたい」

ドラマ『女子グルメバーガー部』(20)や映画『ビリーバーズ』(22)などでの演技で注目を集め、今年は出演映画が次々と公開されている北村優衣。ロシアの文豪ドストエフスキーの短編『白夜』に着想を得て、紅葉の美しい秋の日本で撮影した映画『永遠の待ち人』で、帰ってこない恋人を3年も待ち続けるヒロインを演じる彼女に、これまでのキャリアや本作の撮影エピソードなどを中心に話を聞いた。

北村 ある映画の写真を幾つか見せてくださって、「(カメラマンさんに)このアングルで画を作ってほしい」「ここは目をつぶって、相手を見ないでほしい」というような具体的な指示があるんです。それに対して、「目をつぶるとはどういうことなんだろう」と深掘りしていく作業が多かったです。監督の思い描いているものが強かったので、自分でこうと決めるよりは、監督の指示通りにやって見えてくるものがありました。脚本もご自身で書かれているので、私が作った美沙子に対して、「僕の思い描いていた美沙子が出来上がっていて良かった」と言ってくださったので、その監督の言葉に尽きると思います。

北村 撮影期間がタイトだったこともあって常にバタバタしていたんですが、そんな中でも丁寧に撮ろうという太田監督のこだわりがあったので、みんなが同じ方向に向かえたというか、まとまりは良かったです。

北村 日常会話で使わないような哲学的な言葉がたくさん出てくるので、そのセリフを自分のものにするのが大変でした。あと、待ち人と初めて出会う回想シーンで美沙子はビビッとくる訳ですが、ときめきを感じたときはどんな顔をするんだろう、どこに魅力を感じたのだろうというところは深掘りして考えました。

北村 永里さん自身がちょっと変わった方で、何を考えているか読めないところがありました。姿勢がめちゃめちゃ良くて、歩き方も独特で、それが不思議な空気感を醸し出していて、泰明そのものという印象で。「どういう人なんだろう」と考えることが、美沙子を演じる上でも合っている気がして。だから、たくさん話して仲良くなるのではなく、永里さんがぽつぽつ話すことに耳を傾けようとか、あえて距離感を保つことで、楽しく演じさせていただきました。

北村 初めて脚本を読んだときよりも、より幻想的になったなと感じました。泰明が住む家には何もないし、愛や人生、生きる意味についてなど、美沙子の喋る内容もすーっと耳に入ってくる言葉ではないので、その存在も含めて幻想的だなと。この映画を観た人はどう思うんだろうと話したくなる映画で、ディスカッションできる作品じゃないかなと思います。

両立していたほうが、どちらも上手くいくタイプ

北村 幼稚園の頃に観たミュージカル『美少女戦士セーラームーン』の影響で、セーラームーンになりたくて、この世界に入ったんです(笑)。あと小学4年生のときに学校で劇があって、私は『サウンド・オブ・ミュージック』の主人公・マリア役をやったんですが、そこで初めてお芝居というものに触れて。自分が演じることで親や知っている人たちが楽しんでくれるんだということを肌で感じました。また、みんなで一つのものを作って、その役になりきって演じるというのが楽しくて。こんなに楽しいことを職業にできたら最高だなと。それで女優さんになりたいと思ったのが一番のきっかけですね。

北村 最初はただの目立ちたがりでした(笑)。学級委員もやるし、体育祭などでも実行委員会に入るなど、積極的に前に出るタイプでした。

北村 いつもテレビで観ていたドラマの中に、自分がいるというのが信じられなかったですし、撮影現場ではそわそわしました。デビュー当時から、ちょこちょこ舞台にも出させていただいたのですが、舞台は生ものですし、小学生の頃は身内だけの発表会でしたが、知らないお客さんの反応を見るのが楽しくて、「生きてる!」という実感がありました。

北村 自分では大学に行くつもりはなかったんです。ただ普段から「自分の好きなようにやっていいよ」と私のやることに口出しをしないお父さんが、「大学は出ておけば」と言ったんです。そのほわっとした言い方が本音なんだろうな、本気で大学に行ってほしいんだなと思って進学を決めました。せっかく大学に行くなら、お芝居のためになるような学科がいいなと、心理学を専攻しました。人を演じる上で、人を学んでおいて損はないなと思ったんですよね。

北村 ちょこちょこ(笑)。心理学を学んだからといって、「こういうパターンもあるよ」というだけで、そんなに人って単純じゃないんですよね。やっぱり生身の人間は、教科書だけでは語れないところがたくさんあるなと思いましたし、同じ人は誰一人としていないんだなということを知るいい機会でした。

北村 私は両立していたほうが、どちらも上手くいくんですよね。むしろ、どちらかが暇なときのほうが両方疎かにしてしまいがちで、大学も忙しくて、仕事も忙しいときのほうが結果的に良かったです。今も何もしない時間が苦手で、仕事がない日は映画を観たいし、本を読みたいし、劇場に行きたいしと、何かしらやっています。

今ハマっていることは麻雀とM.LEAGUE観戦

北村 大好きですね。最初の事務所に入る前からそうで、映画館に通っていました。現実逃避みたいな感覚ですね。現実がつらいとか、そういう訳じゃないんですけど、旅行している気分というか。映画を観ると、いろんな人生を体験できるじゃないですか。自分だけの人生ってつまらないなと思いますし、それがお芝居をやっている一つの要因でもあるんですが、自分の人生一つ生きるよりも、たくさんの役をやることによって、いろんな人の人生を生きられるからお得じゃんと思っています。

北村 私は大九明子監督の作品が大好きで、中でも『勝手にふるえてろ』(17)は大きな影響を受けました。女性ならではの気持ちがリアルで、もどかしい感じも共感できて、主人公を演じた松岡茉優さんも大好きです。

北村 やっぱり『ビリーバース』ですね。初めてと言っても過言ではないぐらい、しっかりと映画の中で生きているなという実感があって、より一層お芝居を好きになった作品でした。それに磯村勇斗さん、宇野祥平さんとお芝居をさせていただく中で、これが生もののお芝居だよなと感じた瞬間がたくさんあったんです。

北村 相手がどう出るんだろうというドキドキ感もありましたし、お二人とも自分自身を度外視して、役と真摯に向き合っている方々だったので、新しい面を引き出してもらったところもありました。そのおかげもあって、自分が思い描いていた以上の役になったなと思いますし、こんな顔をするんだ、こんな声で喋るんだなど、自分自身の発見が幾つもありました。そんな先輩たちを見て、私も年を重ねていく中で、相手のいいところや、相手の考えている役以上の部分を引き出せる俳優になりたいと思いました。

北村 今でも撮影現場に行くと、「『ビリーバーズ』観たよ」と仰っていただくことが多いので本当にありがたいことです。

北村 麻雀です。雀荘にも行きますし、友達の家に雀卓があるので、その子の家でも打ちます。週に1回はやっていますね。あとM.LEAGUE(Mリーグ)の試合も欠かさず観ています。

北村 『咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A』(18)という映画に出演したときに覚えたんですが、当時は十代だったので、同年代で麻雀をやっている人がいなくて。二十歳を超えてから、現場で会う人やお酒の席で麻雀の話をすると、「やろうよ」という話になることが多くて、そこからしっかりと麻雀を打ち始めました。ここ2、3年で、しっかり役とか点数を考えて打てるようになって。まだまだ修行中で、そんなに強くないですけどね。

北村 真剣に観始めたのは1年前ぐらいで、観る麻雀も楽しいんだなと知ることができて、麻雀はスポーツだなと思いました。

北村 チームは渋谷ABEMASで、ハコ推しなんですが、あえて一人挙げるとすると多井隆晴さんです。あの毒舌で麻雀を教わりたいです(笑)。

北村 二盃口(リャンペーコー)の切なさがいいですね。あんなに苦労して作ったのに点数は低くて、「これだけかよ……」みたいな(笑)。

北村 それが心理学を学んだくせに、めちゃめちゃ表情を読まれちゃうんですよ。マジで麻雀には向いていないと思います(笑)。ただ麻雀は心理状態が大きく影響するので、相手の癖や表情を見て、判断するようにしています。

北村 まず、この映画は2年半前に撮ったので、無事に公開が決まって本当にうれしいです。ドストエフスキーの『白夜』をモチーフにしていますが、また違うものになっていて、これは幻想なのか現実なのかなど、考えるポイントがたくさんあります。一人で観に行ってもいいし、二人で観に行った後に語り合うのも楽しいですし、「愛とはなんだろう」「自分だったらどう考えるのか」といった思考を巡らせるのも楽しい映画です。